第二章 友達の絆 134 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「――カッ、あ……ッ!!」

声が出せない程の腹部の痛みに目眩さえ起こす。

「ライトッ!」

そんな耳慣れた呼び声がどこからか聞こてくる。

けど声のした方に顔を向けられる程の気力は残っていない。

私は腹を抱えながら目の前に佇む愛花を見つめる。

愛花は相変わらずコチラを冷徹な視線で見つめてくる。

「もう終わり? 悪魔さん」

凛とした声で口を開く愛花。

そしてゆっくりと私の方へと近づいてくる。

目の前まで来ると、愛花は私に向けて右腕を向けてきた。

まるで殺す相手に銃口を向けるかのように。

「意外ね、もう抵抗してこないんだ」

私はその言葉に何も答えず、うつむいた。

すると、コチラに走ってくる足音が聞こえてくる。

「やめろ火野川ッ! いい加減にしろよ!!!」

声のする方に視線を向けると、そこには愛花を睨みつける護の姿。

「邪魔しないで護、アンタだってこの子のした事は許せないって言ってたでしょ」

「そうだけど、それでも少しくらいコイツの話を聞いてやろうとは思わないのかよッ!?」

ホント、コイツはお人好しで大馬鹿者だ……。

何で、こんな私なんかを必死に庇うんだろうか。

相手が愛花なのに……。そんな事したら今まで仲が良かったのに絶縁になってもおかしくないのに。

「何でアンタはそうまでしてこの子を庇うの? まだ一日二日の付き合いだってのに」

「庇うのは当たり前だろうが! コイツは俺達の仲間なんだぞ!!」

その護の言葉に愛花だけでなくエレナ達までも固まってしまう。

「……アンタってちょっと度が過ぎたお人好しよね。いいえ、ハッキリ言ってバカよ。この子は私達を置き去りにしたのよ? 裏切ったとも言える事をしたのよ? まぁ、あの時は別に魔術でどうにかなるからそこまで気にはしてなかったけどさ」

「それでも、コイツは仲間なんだよ。だから――」

「もう良いよ、護」

「――え?」

護は驚いた表情で私に顔を向ける。

そう言えば、コイツを護って名前だけで呼んだのは初めてだっけ。

「そこの魔術師の言う通り、私は最低で自分勝手な人間なんだ。……自分でも分かってたし、ここに戻ればこうなるって事は大体予想出来てた事なんだ。さっきも言ったろ? この世界はお前が理想とするほど優しく出来てないってさ」

顔を向ける護に無意識に微笑みかけてしまう。

そして私は右手を向けてきている愛花に顔を向けた。

「――私はお前が羨ましい」

「――どういう意味よ、それ」

「言葉通りの意味だよ。〝キョウダイ〟の事でそこまで苛立つ事が出来るなんてさ」

今の私にはどう足掻いても戻ってこない物だから。

「……何よ、それ。言っとくけど、そんな同情を誘ったって無駄だからね! わ、私はアンタを本気で殺そうと思ってるんだから! そう、そうよ予行練習、姉貴を殺す為の予行練習なのよアンタを殺す事は!!」

さっきとは一変し、どこか慌ただしい態度をしている愛花。

そして、何故かコチラに向けられる右手が震えていた。

私としては――。

「私は、お前に殺されるなら構わない」

「――ッ!!」

その言葉に驚いたのか愛花は目を大きく見開いて私を見つめる。

本気で言ってる? とでも言いたそうな表情だ。

勿論、私は本気だ。

だって、それ程の事をコイツにしてしまったのだから。

まぁ、諦めが早いと言われたら反論出来ないけど。

それでも、心のどこかで私は――。

彼女になら殺されても仕方ないと、思ってしまうのだ。

「随分あっさりしてるのね……。さっきはあんなに抵抗してたくせに。今だってその気になれば抗えるでしょ」

「あぁ……けどもういいよ。なんだか、いろいろと疲れた」

ライアンには申し訳がたたないな。

けどさ、許して欲しい……こんな私を。

これ以上、こんな生き方してられないよ。

もっと早く気づくべきだったけどさ。

そして、もっと早く見つけれたら良かった。

簡単で、見つけるのが難しい私の答えって奴を……。



/続く




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