「おう、会長さん」
スタスタ歩く私に誰かが声をかけてきた。
立ち止まり、声のした方へと顔を向ける。
ツンツンした金髪の男子生徒。
ブレザーの前ボタンは護同様だらしなく開けている。
極道龍二、学院で有名な不良生徒である。
前は学科コースだったが、今は総合コースに席を置いている。
「何だ何だ? 今日もド真面目に生徒会関係ですかぁ~?」
フラフラと荒い口調で私に近づいてくる龍二。
「昨日あんな事があったってのに、アンタは全然顔色が変わらねーんだなオイ?」
「そう言うアンタも全然変わってないでしょ、龍二」
この男は何かと私に絡んでくる。
少し前、この男がカツアゲをしていたのを止めた辺りからだ。
よっぽどその事がお気に召さなかったのか。
「おうよ、俺は世界がどうなろーが変わらねーのよッ!」
親指を自分に立てながらニヤリと笑う不良男子生徒。
「つかよ、護の奴はどこだよ? 昨日の事めっちゃ詳しく聞きてーのによ」
「護は部屋よ、でも今はそっとしておきなさい」
私がそう言うと、さっきまでバカみたいに元気だった龍二の顔色が変わる。
心配そうな顔で六階の方へと顔を向けた。
龍二と護は悪友関係、他の男子生徒とはあまり絡まない龍二は護には気を許しているのだ。
だからだろうか、護の部屋の辺りを寂しそうな視線で見つめている。
「んだよアイツ、辛いならダチのオレに吐いちまえばいいのによ」
チッ、と舌打ちをしながら愚痴る龍二。
コイツはコイツなりに護を心配しているのだろうか。
「誰にも言いたくなんてないんでしょう。良い? 無理に聞こうとかしないでよ」
「わーってるよ、んな事アンタに言われなくてもよ」
龍二は私を睨みつけながらそう言った。
本当にこの男は言葉遣いが荒いと思う。
本人曰く、これがオレ流の現代語らしいが。
「分かってれば良いのよ。それじゃ私は行くから、アンタも遅れないようにね」
「何言ってんだよオイ? この極道龍二様が学院に行くとでも思ってんのかァ?」
「それはアンタの勝手だけど、出席日数が足りなくて留年になっても知らないからね」
不良、と言うだけあって龍二はあまり学院には姿を見せない。
普段は第一エリアにある娯楽施設などで遊んでいるとか。
去年はそのせいで、出席日数が足りなくなり留年しかけたくらいだ。
「まだ高2は始まったばっかだろうがッ! 今から日数でビビってどーすんだよ」
「良いわよもう、お好きにどうぞ極道さん……」
言うだけ無駄だって事は分かってたけど。
私はため息をつきながら学生寮を後にした。
/続く