Beyond Despair -44ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

ため息をしながら、寝っ転がったままグルリとアイネの方へ体を向ける。

「じゃあライト、この中から好きなカードを四枚選んで?」

ニコっとするアイネを睨みつける。

私は適当にテーブルに散らばっているカードを選ぶ。

そして取ったカードを表向きに置いた。

一枚目のカード、逆位置のそのカードには変な男の絵が描かれている。

「下手くそな絵だな……」

アイネは表に置いたカードを見つめる。

「これは愚者のカード、番号は0だね」

「で、これは何を言ってるんだ?」

「逆位置だと、わがまま、軽率、逃避の意味があるね」

初めから癇に触るカードを引いたもんだ。

私はイライラしながら二枚目のカードを選ぶと、表向きに再び置く。

今度もまた逆位置、絵柄は女だった。

「これは女教皇、番号は2。逆位置の意味は残酷、身勝手、不安定だね」

ため息をしながら私は一気に残り二枚のカードを選ぶ。

そして表向きに置いた。

一枚の絵柄は星、今度は正位置だった。

二枚目の絵柄は変な輪っかの様な物が書かれている。

これも正位置だった。

「ほうほう、一枚目は星のカード、番号は17。正位置の意味は、願いが叶う、希望だね。二枚目は運命の輪、番号は10。正位置の意味は――定められた運命、それと出会い、だね」

最後に引いた二枚はまあまあマシな方だった。

しかし、一つ疑問が残る。

「で、これで何が分かるんだ……アイネス・ヴァルハーケン?」

さっきからカードの意味を言われてもさっぱり訳が分からない。

私はアイネの顔を睨みつける。

「ゴホン、えーと私が推測するに――」

アイネは私が選んだ四枚のカードをジロジロ見つめながら解説を始める。

「ライトは無意識に何かを逃避していて、かつ身勝手な子なんだよ。でもそんなライトには希望が訪れて、素敵な出会いが――」

〝待っている〟と言おうとして言葉を切るアイネ。



/続く



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私は再び目蓋を閉じる。

すると、何か背中の方から紙が擦れる様な音がした。

シュッ、シュッ、と言う音。

私は目蓋を開けて音のする方へと顔を向ける。

「なにやってんだ、お前」

何かのカードを慣れた手つきで切るアイネに声を掛ける。

「ライト、タロット占いって知ってる?」

クスクス笑いながらアイネは質問してくる。

タロット占い、聞いたことはある。

引いたカードの位置によって、その者の事が分かるって言う物だ。

中学の時、クラスで一時期流行っていた様な覚えがある。

「まさかとは思うけど、私を占うとか言うんじゃないだろうな?」

「うん、そのまさかでした~」

手際よく目の前のテーブルにタロットカードを並べていく。

どこでこんな事を身に付けたのか……。

木製のテーブルの上に二十二枚のタロットカードが並べられる。

全て並び終えると、アイネは両手を合わせた。

そして、綺麗に並べたタロットカードを両手でグチャグチャにかき混ぜる。

「よし! これで準備完了~。 さあライト、好きなの引いて」

「まだやるとは言ってないだろ」

「良いじゃん、それにどうせカードだしさ~」

占いをする奴の言う台詞なのだろうか、今のは……。



/続く

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第三エリア行きの列車に乗ってから二十分。

私は呆然と窓から外の風景を見つめていた。

「いや~、にしても豪華な席だね~」

アイネの言葉に私は辺りを見渡す。

私達は一般車両ではなく、騎士団専用車両に乗っているのだ。

床は赤い絨毯が敷かれている。

「私~個室利用したの初めてなんだよね~」

アイネは子供の様に部屋の中を見て回っている。

実際、私も個室を利用したのは初めてのことだ。

どうせなら日本に来る時も個室を選びたかったと、今更後悔してしまう。

もし個室だったら、周りの奴らに不審者みたいな目で見られる事も無かっただろうに。

「ね~、ライトも何かして遊ぼうよ~」

と、いつの間にかアイネが私の隣に座り込んでいた。

「ね~ね~、どうせ着くまで一時間はかかるんだしさ~」

「お前は遊んでれば良いだろ、私は寝る」

私は反対のロングシートにフラフラと移ると、そのままアイネに背中を向ける様に横になった。

「え~、トランプ持って来たのに?」

「お城でも作ってろ、私は寝る。昨日はあまり眠れてないんだ……」

昨日は興奮していた事もあって中々寝付けなかった。

それに加え今朝見たあの悪夢。

神様の仕業だとしたら、かなりタチの悪い事をする奴だ。

「昨日って……ライト、アヴェンジャーと戦ったから?」

さっきとは変わったアイネの声に目を開ける。

なるほど、あのクソ大佐が話したのか。

「……あぁ、そうだ」

隠しても仕方がない、私は正直に答えた。

するとアイネはそっか、と低い声で呟く。



/続く



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