「アンタ、無理してないでしょうね?」
急にこんな事を言い出した俺を変に思ったのか、火野川は心配そうな表情で呟いた。
まぁ、昨日の夜も朝も、あんな態度じゃ心配されても仕方ないけどな。
俺は火野川にグッ! と親指を立てる。
「無理はしてない、けどこれが今の俺に出来る元気なんだ。もし前の俺よりも元気に見えないんなら、そこらへんは勘弁してくれよ~?」
俺がそう言うと火野川はクスと笑った。
そして俺に拳を向けてきた。
「そうね、まぁアンタの事だし、気づかない内に今までの元気、取り戻してそうだけど」
俺も拳を握ると、火野川の拳に合わせる。
「その期待に答えられる様に、努力するよ」
うん、と火野川は頷く。
そして互いに合わせていた拳を引いた。
そんな俺達を見つめていた坂口がノソノソと近づいて来る。
「それでヒノッチ、行くんですかい?」
「ん? 当たり前でしょ。息抜きしたいのは護だけじゃないしね」
火野川はくるりと百八十度回転すると、鞄を持ったままエントランスの出口へ向かう。
「んて、ちゃっと待てよ火野川ッ! 行くってどこに行くんだ?」
しかし火野川は振り返りもせず、一人先に寮を出ていった。
その後に続いて坂口、龍二も寮から出ていく。
俺は残ったエレナに顔を向けた。
「なぁ、行くってどこに行くんだよ?」
「勿論、ナイトタウンですよッ!」
そう言うとエレナはルンルンとスキップしながらエントランスの出口へと向かって行った。
ナイトタウン、エリア全体が巨大ドームで覆われている変わったエリアだ。
しかもナイト、とつくくらいその街は一日中夜なんだよな。
しかし、気分転換に何故ナイトタウンなんだ……。
「火野川の事は、やっぱり分かんねーなー」
そんな愚痴をこぼしながら俺は明子さんにおむず日の礼を言うと、そのままエントランスの出口へと向かった。
/続く