「お前ッ! 魔術とか勉強とかのしすぎで常識って言うねじの一部分がぶっ飛んでるんじゃないのかッ!?」
「なッ! 急に大声上げて何言い出すかと思ったら、何よその失礼な物言いはッ!?」
いや、絶対吹っ飛んでるだろッ!
何だよ、万能な人間はどっか抜けてるとこがあるって言うけどこの事かッ!?
俺はつい席から立ち上がり火野川を見下ろす。
「失礼でも何でもないわッ! お前の為に言ってるんだぞ俺はッ!」
すると火野川は負けんとばかりに席を立つ。
そして俺に顔をグイっと近づけてくる。
「だからッ! アンタはさっきから何を訳の分からない事を言ってるのよッ!? 常識のねじが吹っ飛んでるのはアナタしゃないんですか、神崎護さんッ!!」
お互い鋭い目付きで睨み合う。
と、そんな時――。
「あの、お客様?」
火野川の背中の方から女性の声が聞こえる。
俺達は声のした方へと顔を向けた。
そこには紫の帽子を被った女性車掌の姿。
「席を立って騒がれては、他のお客様へのご迷惑になりますので……」
苦笑いをしながら女性車掌は俺達にそう告げる。
そう言えば、周りの奴の事なんて全然気にしてなかった。
俺はゆっくりと周りの乗客を見渡す。
全員、俺と火野川の方をジドっとした目付きで見つめていた。
「あ、あははは……いや、お騒がせしてすみません」
愛想笑いで周りの乗客にそう呟く。
それでも乗客の表情はまったく変わらない。
俺は視線を火野川に向ける。
すると火野川も俺に視線を向けてきた。
目だけで、この状況の突破する方法を話し合う。
と、火野川は何か決意したかのようにコクっと頷いた。
「乗客の皆さん、本当に申し訳ありません」
火野川は乗客の奴らに頭を下げる。
俺もそれに続く様に頭を下げた。
さすが火野川、こう言う時には頼りになるんだ――。
「この馬鹿男が何を思ったのか急に暴れ出してしまって……」
「って、テメーは何全部俺が悪いみたいに言ってんだよッ!?」
再び火野川に向き直る。
/続く