すると男性車掌は女性車掌に近づくと、互いに耳打ちを始める。
つか、この事を学院に報告するとか言わないよな……。
そんな事をされたら生活指導部に直行なんだが。
「何の話してんだよ、あの年増野郎はぁ?」
小声で龍二がそう呟く。
「静かにしてなさいッ! 私達の行動で学院のイメージがダウンしたらどうするの?」
「お前が気にするのはそこかッ!? どんだけ優等生なんだよ畜生ッ!!」
俺のツッコミが気に入らなかったのか、火野川は力強く俺の足をかかとで踏み付けた。
激しい痛みに声を出すことすら忘れてしまう。
「ま、護さん、大丈夫ですか? 顔が凄い事になってますけど……」
エレナは心配しつつも、笑いを堪えている。
コイツ、あとで覚えてろ……。
と、そんなやり取りをしていると。
「君達、付いてきてくれ」
男性車掌が手招きをしながら貫通扉の先へと進んで行く。
「え、俺達はどこに連行されるんですか?」
貫通扉の前にたっている女性車掌に俺はそう言った。
「貴方達には、騎士団専用車両に移動していただきます」
「騎士団専用車両?」
俺は火野川に顔を向ける。
すると何故か火野川は顔を輝かせていた。
何か良いことでもあったかの様な表情。
「あの……火野川さん?」
「え、え? あぁ、騎士団専用車両ってのはね、魔術騎士団員が任務とかで電車を使う際に与えられる特別車両に事なの。私は写真とかでしか見たことなかったんだけど……まさかあの豪華な車両に……!!」
更に目を輝かせる火野川を俺達三人は呆然と見つめる。
「さぁッ! 行くわよ皆」
そう張り切りながら男性車掌の後をルンルンとついて行く火野川。
あんな火野川を見るのは俺達三人、初めての事だった。
/続く