Beyond Despair -41ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

すると男性車掌は女性車掌に近づくと、互いに耳打ちを始める。

つか、この事を学院に報告するとか言わないよな……。

そんな事をされたら生活指導部に直行なんだが。

「何の話してんだよ、あの年増野郎はぁ?」

小声で龍二がそう呟く。

「静かにしてなさいッ! 私達の行動で学院のイメージがダウンしたらどうするの?」

「お前が気にするのはそこかッ!? どんだけ優等生なんだよ畜生ッ!!」

俺のツッコミが気に入らなかったのか、火野川は力強く俺の足をかかとで踏み付けた。

激しい痛みに声を出すことすら忘れてしまう。

「ま、護さん、大丈夫ですか? 顔が凄い事になってますけど……」

エレナは心配しつつも、笑いを堪えている。

コイツ、あとで覚えてろ……。

と、そんなやり取りをしていると。

「君達、付いてきてくれ」

男性車掌が手招きをしながら貫通扉の先へと進んで行く。

「え、俺達はどこに連行されるんですか?」

貫通扉の前にたっている女性車掌に俺はそう言った。

「貴方達には、騎士団専用車両に移動していただきます」

「騎士団専用車両?」

俺は火野川に顔を向ける。

すると何故か火野川は顔を輝かせていた。

何か良いことでもあったかの様な表情。

「あの……火野川さん?」

「え、え? あぁ、騎士団専用車両ってのはね、魔術騎士団員が任務とかで電車を使う際に与えられる特別車両に事なの。私は写真とかでしか見たことなかったんだけど……まさかあの豪華な車両に……!!」

更に目を輝かせる火野川を俺達三人は呆然と見つめる。

「さぁッ! 行くわよ皆」

そう張り切りながら男性車掌の後をルンルンとついて行く火野川。

あんな火野川を見るのは俺達三人、初めての事だった。



/続く



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「オイッ! とっとと元の席に戻せよクソ車掌さんよぉぉッ!?」

「ご、極道さんッ! やめてくださいよぉ~!」

するとコチラに気づいたのか、エレナが俺達の方へと顔を向けてきた。

「あれ~、愛花さんに護さんだぁ。どうしてここに居るんですか? 無事隣に座る事が出来たって言ってたのに」

「そういうエレナこそ、こんな所で何やってるの?」

質問に質問で火野川は返す。

するとエレナはエヘヘ~、と苦笑いをしながら頭をかいた。

「いや実はですねぇ……極道さんと少し車内で騒ぎすぎてしまって~」

「アンタ達もなの……?」

「え、と言うことは愛花さん達もですか?」

俺と火野川は同時に頷く。

そんな俺達を見つめながら女性車掌は呆れた様にため息をした。

「貴方達、お知り合いですか?」

冷たい目で火野川を女性車掌は見つめる。

「え、えぇ……そうですけど」

「はぁ……まったく最近の子供は」

呆れながら女性車掌は龍二に掴まれている男性車掌を龍二から引き離す。

「オイッ! 邪魔すんじゃねー年増ッ!!」

「これ以上続けるのでしたら、騎士団に連絡せざる負えませんが?」

その言葉に龍二は舌打ちをしながら引き下がる。

掴まれていた男性車掌は息を整えると、俺達の方へと顔を向けてきた。

「ん? その制服は……君達は魔学の生徒さん達かい?」

……魔学の生徒?

俺はポカンと男性車掌を見つめる。

「火野川、魔学って何だ?」

「魔術騎士団員教育学院の略称よ、馬鹿」

なるほど、それで魔学なのか。

最後の馬鹿は余計だった気がするが。

「はい、私達は魔術騎士団員教育学院の生徒です」

と、エレナが男性車掌に答えた。



/続く



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「何言ってんのよ、本当にアンタが勝手に騒ぎ出したんじゃない」

「お前が変な勝負しようなんて言ってくるからだろうがァッ!」


すると火野川も再び俺に顔をグイっと向けてくる。

「アンタがエロい妄想なんかしなければこうはならなかったんだからッ!!」

「妄想ッ!? ってバレてるし、じゃなくってッ!」

俺は次なる言葉を言おうとした、その時だった。

「お客様ッ! いい加減にしてくださいッ!」

まるで爆発でもしたかの様な声に俺も火野川も一瞬で静まる。

恐る恐る、爆発ボイスの方へと顔を向ける。

さっきの穏やかそうな顔とは一変し、かなりマジギレな表情の女性車掌。

俺と火野川は怖いくらい鋭い目付きでギロりと睨んでくる。

そう言えば、大人しい奴は怒ると一番怖いって事を忘れていた。

火野川は身体をゆっくりと女性車掌へと向ける。

すると女性車掌はビシっと貫通扉の方へと指を向ける。

「お客様、この車両から即刻退散願います」

「――え」

「――え」

即時退散、って……。

つまりはこの車両から出て行けって事か?

「あ、あの……それは一体どういう意味で――」

「言葉の通りッ! あなたがたには特別席をご用意いたしますッ! ですからそちらにお移りくださいッ!!」

と、女性車掌は俺と火野川の腕を掴むと、強引に車両から連れ出した。

「って、ちょっと待ってくださいッ! 特別席ってどんな席なんですかッ!?」

火野川は強引に引っ張る女性車掌にそう言った。

正直、それは俺も気になっている所である。

つかいくらなんでも強引過ぎはしないか……

「車内で騒がれたお客様専用のお席でございます」

「そんな席が用意されてるって、どんな列車だよッ!」

俺のツッコミなど軽々と女性車掌はスルーする。

と、次の車両の貫通扉の前に見慣れた二人の姿が見えた。

そこにプラス、男性車掌。

「あれ? あそこに居るのって、龍二とエレナじゃない?」

男性車掌の首元を掴む龍二、そしてそれを止めているエレナ。

何だってアイツ等がこんな所に居るんだ?



/続く



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