Beyond Despair -24ページ目

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

その後に続くように護も周りの人に声を掛ける。

勿論話しかけた全ての通行人が首を横に振っていた。

「ダメか……写真見せても見てないなんて」

「本当にこの辺りに居るのかアイツ……」

護と愛花は深いため息をこぼす。

ふと、私は一つ嫌な仮説を導き出していた。

私とアイネが男の死体を見つけた路地裏通りはここからたいして離れていない。

もしあれが誘拐犯本人の仕業だとすれば、この近くをウロウロしていたとされるエレナの行方不明の原因も頷けてしまう。

この仮説が正しければあのスマイル女は運の悪い宝くじの当たりを引いてしまった事になる。

「って、何真剣に考えてんだ私は……」 

自分の馬鹿げた考えに頭が痛くなる。

何で私はコイツらに協力的な考えを巡らせていたのだろうか。

私は関係ない、私には他にやるべき事がある。

そもそもそんな運の悪い当たりなんて、そうそう引ける物でもないだろうに。

私は護と愛花に視線を向ける。

二人には悪いが、私はお前達に構ってる暇は無いんだ。

私は二人に背を向ける。

「ライト? 行くの」

「あぁ、だいだい迷子探しなんて依頼されていないからな」

護を殺意混じりの目付きで睨みつけていたアイネにそう呟く。

そのまま私達はその場を去ろうとした、その時だった――。

「今の話、本当ですか!?」

後ろの方から愛花の声が聞こえてきたのだ。

振り返るとそこには愛花と護、そして何やらガラの悪い男が二人。

どうやらあの二人に聞き込みをした結果、らしい情報が得られたらしい。

「それで、その男はどこに向かって行ったんですかッ!!」

―― 男。

その言葉にさっきまで迷子探しに興味の無かった私の心が一変した。

「何だって、こう悪い運勢は引き寄せる事が出来るんだろうな私は」

自分のさっきまで思っていた事が的中してしまい、愚痴をこぼしてしまう。

これが神様の仕業なら少しばかり度が過ぎている。

が、今はそんな事はどうでも良い。

私は愛花達へと向き直る。

「ライト? どうかしたの?」

「見つけたよ、手掛かりって奴をな」

アイネに笑いながらそう言うと、私は護と愛花を気だるそうに相手している男二人に近づいて行く。



/続く



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「ん~、だよな。俺は矛盾してるよな。お前とはもう関わるなんて勘弁って思ってるのにさ。何でこう勝手に関わろうとするんだろうな? 駅でお前に怒鳴りつけた時もそうだった。自分が今何をしてるのかよく分からなかった、けどどうしても放って置けないって言うかなんて言うか~」

ん~、と言葉を繋ごうと努力するツンツン頭の男。

そんな彼の背中を愛花が勢い良く叩く。

「いって、急に叩くな火野川ッ!」

「ハイハイ、悪うございました。けど、そのアンタの矛盾した行動ってのは悪い物でも無いんじゃないの。まぁ、ライトにとっては迷惑な事かもしれないけど、それは諦めてね?」

愛花はそう微笑みながら言ってきた。

その意味も私にはよく分からない、何を諦めろと言うのか。

「どういう意味だ、その諦めろってのは」

「ん? まぁ言うならコイツは自分に素直じゃないのよ。心では否定していても身体が勝手に行動しちゃうって言う少し変わった所があるのよね。逆に言えば心で思った事を行動に移そうとしても身体が違う動きをするって感じ?ん~わかりにくいかもしれないけど――」

「おいテメー、それじゃまるで俺の心と身体は違う行動をするみたいじゃねーか」

「何言ってんのよ、現にそうでしょ。そうね、良い例を挙げるなら定期テストかな。心ではやらなくちゃって思っても身体は遊びに向かう」

「それは誰でも同じだろうがッ!」

その愛花の言葉に私は少しだけ神崎護と言う人間を理解出来てしまっていた。

昨日、あの公園でアヴェンジャーが女性を殺そうとした時だ。

コイツは我が身構わず突っ込んで行った。

正直頭でも狂ったのかと思った程だ、いや今の話聞く限り狂っていたのか。

心ではきっと、死の恐怖で震えていただろうに。

それでもコイツはあの女性を助けたいと言う行動に出た。

まぁ、結局は恐ろしさでその場に尻餅をついてしまった訳だけど。

そして今日、ナイトタウンの駅でもそうだ。

心では私を拒絶しているくせに、私に関わろうとする。

私は呆れて笑ってしまっていた。

「って、今の笑う所かよ……」

「あぁ、お前のバカさに呆れてしまったんだ」

む、と護は唇を尖らせる。

自分ではそんなつもりは無い、と言いたげな顔だ。

「って、話してる場合じゃないわよ。早くエレナを見つけないとッ!」

先程まで微笑んでいた愛花の表情が緊張感溢れる表情に戻る。

そして道行く通行人に声をかけ始めた。



/続く



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「……そうだな、バカみたいな事を聞いてすまなかった」

コイツも愛花も私とは住む世界が違う、なんて事は分かりきっていた事だ。

だからこういう答えでも全然以外に思わない。

きっと私の問いに私の思い通りの答えをする奴が居るとすれば、そいつはきっと私の様に血に汚れている人間だろう。

「いや、でももう言うなよな。さすがに友達が死んだらどうする、なんて事聞かれたら気分悪いからさ」

護は苦笑いしながら私にそう答える。

愛花も先程の殺意マックスな目付きから普段の凛とした感じに戻っていた。

二人は私が悪い冗談でも言っているように聞こえたのかもしれない。

だから謝った途端にそんな表情が出来るんだ。

けど、私tpしてはかなり本気で聞いていたんだけどな。

「お前だって、嫌だろ?」

「―― え」

と、唐突に護が私に声をかけてきた。

「だから、友達が死んだらどうするなんて聞かれたらさ。お前だって気分悪くなるだろ?」

そうなのだろうか、私はよくコイツの問いの意味が分からない。

友達なんて今まで一人として居なかった。

強いて言えば今隣で護の事をジリジリと睨んでいるアイネくらいだ。

「よく分からない、私には友達と呼べる奴があまり居ないから」

アイネが死んだらどうする、なんて事聞かれたら私はきっとアイネの死後の事についての回答をするだろう。

殺した奴を殺しにかかると思う。

それが私の中では当たり前な回答だから。

「そうなのか? けどお前は一応部員だぞ」

「部員? 何の話だ」

そう返すと護は呆れたかの様にため息をこぼす。

「二次元同盟部の部員だろう? まさか忘れてんのか」

「―― え」

昨日の公園での私を見たのに、コイツはまだ私を部員だと思っていたのか。

有り得ないだろ、普通なら私を拒絶するだろうに。

そうだよ、第一コイツは列車の中でも私とはもう関わらないって言ってたくせに。

「お前、自分の言っている事が矛盾してるって分かってるのか?」

ドスの効いた声で目の前の男にそう言った。

すると護は困ったかの様な表情で頭をかく。



/続く



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