愛花は震えるエレナを抱えながらアヴェンジャー達を見渡している。
「逃がす気は一ミリも無さそうだな、これ」
護が掴む手を振り払い、私は化け物共を睨みつける。
腕が鎌状の奴に、人型で相手に噛み付くタイプの奴。
合計五十体って言ったところか。
さすがにコイツらを守りながらは骨が折れる。
けど、退路はどこも塞げれていてコイツらを逃がす事すら出来ない。
本当にタイミングが悪すぎるよ、この化け物共はさ。
私は一度息を吐き、右手に今度は短めの短剣を作り出す。
そして先に作った短剣を左手に逆手で持ち替えると、もう一本同じ短剣を作り出す。
その短剣も逆手に持ち替え、私はアヴェンジャーの群れに構えを取った。
五十体相手に長すぎる槍や剣を使うのは得策じゃない。
出来るだけ小回りがきく武器が望ましいのだ。
「お前ら、後ろに下がってろ」
前に居る三人にそう言った、その瞬間だった――。
周りを囲むアヴェンジャーが一斉に愛花へと飛びかかったのだ。
いや、正確には愛花にではなくエレナに向かってだろうか。
「いや、いや、いやぁぁぁあぁ!!!!」
アヴェンジャーが向かってくるのと同時にそんな悲鳴が聞こえる。
愛花は急に襲ってきたアヴェンジャー達をただ眺める事しか出来ない。
それくらい、奴らの行動は急すぎたのだ。
「火野川、エレナッ!!」
と、そんな愛花達を前にどっかの馬鹿がまた我が身忘れて彼女の元へと走り出す。
そして愛花達を庇うかのよに護は彼女達の目の前で両手を伸ばしてアヴェンジャー達に立ち塞がる。
当然、アヴェンジャーはそんな乱入者なんて気にせずに襲いかかる。
私は舌打ちをしながら右手に持つ短剣をブーメランの様に右から左へと投げ飛ばした。
円を描く様に取り囲んでいたアヴェンジャー達を名もなき短剣が綺麗に切断していく。
そして、綺麗に円を描いた短剣が私の手元に戻った瞬間に飛び掛ったアヴェンジャーの身体はバラバラに砕け散った。
赤い血をまき散らす肉片が愛花達の周りに汚い音をたてながら落ちていく。
「ひぃぃぃ!」
床に散らばった肉片を目にした坂口がそんな悲鳴を上げる。
エレナは未だに激しい頭痛に襲われているのか、周りを見る余裕がなく苦しんでいる。
極道は坂口のように悲鳴こそ上げないが身体を震わせていた。
愛花は足元に落ちた肉片をただじっと見つめている。
護はと言うと、昨日のように吐いたりもせず残るアヴェンジャー達を警戒していた。
/続く