「ハァ、ハァ……!」
息を荒らげる護を私はじっと見つめる。
「おま、え……」
と、そんな私の手を護は掴むとそのまま階段の方へと走り出す。
「お、おいッ! 何するんだ、離せッ!!」
必死に護の手を離そうともがくも、力強く握られていてふりほどく事が出来ない。
「聞いてるのか! 離せって言ってるんだッ!!」
「聞いてるって、でもお前の足止めはあんまり意味ないんだってのッ!!」
声を乱しながら護はそう答える。
階段を走りながら降りているせいで、思わず転びそうになる。
「意味がないって、どういう意味だ!」
「周りの階を見てみろ、そこらじゅうにあの化け物共がウヨウヨしてんだろ!」
私は階段を走り降りながら周りの階を見渡す。
すると、階の廊下のあちこちに黒い何かかがウヨウヨしているのが分かる。
言うならここはアヴェンジャーの巣のような物だ。
「多分、各部屋に待機してたんじゃないか?」
私の手を引きながら走る護が自分の考察を口にする。
「誘拐犯が何で居ないのかは知らねーけど、今ここに化け物共がウジャウジャ集まって来てるって事は、エレナが目当てなんじいゃないのか?」
「あのスマイル女が目当て?」
「あぁ、きっと誘拐犯には目的があったんだ。何で若い女性ばっか拐ったのかは知らないけど、エレナ意外の女は皆、目的を達成するまでには至らなかった。だから用無しと判断されて殺された。けどエレナは生きてる、って事はつまり……」
あのスマイル女は誘拐犯の目的を達成するに至る者だったって言う事か。
と、先程アヴェンジャーが現れた瞬間のエレナの姿が脳内に浮かび上がる。
〝私に、押し付けないで……、そんな感情、押し付けないでッ!!〟
頭を抱えながら何かにそう訴えるエレナ。
その現象は間違いなくアヴェンジャーが現れてから起きた事だ。
「あの女……化け物の声でも聞こえるのか?」
そう、一人小声で呟く。
そんな事を言っている間にも私達は一階に到着していた。
が、逃げ切れたと思っていた愛花達を取り囲む無数の黒い影。
坂口は腰を抜かしているのかその場に尻餅を着いている。
極道はどこから持ち出したのか、鉄パイプを両手に握り締めアヴェンジャー達を睨みつけていた。
/続く