第二章 友達の絆 151 完結 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

燃え上がる炎の方をじっと見つめる。

周りは野次馬達で騒がしくなっていた。

「……どうなってんだろな」

ここまで勢いで来たものの、今日の出来事は信じられない事ばかりだ。

当たり前の様にアヴェンジャーとまた遭遇するし、今度は完璧に人の姿をした奴まで現れやがった。

もううんざりだ、と言いたい気分マックスである。

そもそも今日このエリアに来たのは俺を元気づける為って事だった訳だが。

「とんだプレゼントだぞ……」

ため息をしながら車の方へと身体を向ける。

火野川やエレナ、坂口や極道達は疲れきって眠っているようだ。

「どうしたのだね、早く乗りたまえ」

と、声のした方へと顔を向ける。

そこには白い軍服を身にまとった男が一人。

「言われなくてもそうするっての」

俺はエリックと言う軍人を横切り、ライト達が乗る車へと向かっていく。

その時――。

「神崎……なるほど、君が〝出来損ない〟と言われている少年か」

「ッ!?」

反射的に俺は振り向く。

口元を歪ませながらエリックは俺をじっと見つめてきた。

「君の家の話なら聞いているよ。特に姉上の話はね」

「………」

まぁ、そうだろうな。

姉貴はいろいろと有名人だし。

新都市はともかく、旧都市では姉貴を知らない奴なんて一人も居ないしな。

「そうかよ、だからどうしたってんだ? アンタも出来損ないの落ちこぼれって笑うか?」

「いいや、そんな事はしないさ。ただ、噂を耳にしたのでね。神崎家の出来損ないが新都市に居ると」

「んだよ、笑ってんじゃねーか」

舌打ちをしながら俺はエリックを睨みつける。

どうも俺はこの男を好きになれない。

いつでも余裕の笑みを浮かべ、裏では何を考えているか分からない野郎だ。

ライトの事も、彼女の事情を良いように利用して駒として使ってやがる。

「すまんね、しかし君も大変だな。姉上が出来すぎているが故に、君の立場は重くなっていく。新都市に来たのは、それが理由かね?」

「テメーに答える義理はねーよ」

いい加減コイツとの会話も飽きてきた。

俺はエリックに背中を向ける。

と、コチラを見つめているライトと視線が合った。

「……はぁ」

ため息を吐く俺をライトはじっと見つめてくる。

そういや今日はアイツとよく話したよな。

昨日と比べると少しは友達になれた、ような気もしないでもない。

まぁ、その分いろいろやばい目にもあったけどな。

それだけじゃない、俺意外の奴らも……。

今日で、当たり前だった日常が終わったんだ。

坂口も、アニメやゲームばかりしていた日常が。

龍二も、朝かた夜まで喧嘩していた日常が。

エレナも、いつまでもニッコリと笑っていた日常が。

火野川も、勉強して生徒会長としてたくましく生きていた日常が。

そのどれもが、今日――。

全て崩れ、壊れてしまったんだ。

俺は自分の右手を持ち上げ、拳を握る。

相変わらずの無力さだったよ。

何度かライトの事は助けられたけど、それだけだ。

助けるだけで、守る事は出来ない。

「情けねぇよな……チクショウ」

エリックの言う通りだ、俺は姉貴と違って出来損ないだ。

誰かを守る事すら出来ない、無力な人間。

せもて火野川みたいに魔術さえ使えれば良かったが、その源となる魔力すら無い。

「……おい、お人好し」

と、車の中からライトが声をかけてきた。

その声から彼女が不機嫌だと言うのが何となく分かる。

俺は顔を上げ、ライトを見つめた。

「……早く、乗れよ」

プイ、と顔を俺から背けるライト。

どうやら早く帰りたいらしい。

ライトは座っている座席から一つずれる。

どうやらここに座れ、と言う事らしい。




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