「君達には後日、今回の件について話を聞こうと思う。それまでゆっくりと身体を休めたまえ」
エリックが俺の肩を軽く叩くと、そのまま自分達専用の車へと乗り込んでいった。
そしてそのまま、エリック達が乗った車は静かに走り出した。
「おい、坊主! 早く乗れ!!」
と、ライト達が乗る車の運転席から顔を出すタバコを加えた男。
「ノコノコしてっと置いてくぞ!」
「は、はいッ!」
その言葉に俺は走って車へと乗り込む。
俺が座席に着く事を確認すると、運転席に座る男はエンジンをかけた。
そしてエリック達が乗る車を追うかのように走り出す。
俺は呆然と窓から外を見つめた。
今だ消えない炎に勇敢に立ち向かっていく消防隊員達。
そんな彼らをざわざわと野次馬達が見つめている。
「大丈夫か?」
「ん? あぁ、平気だって」
窓からライトに顔を向けて、俺はそう彼女に答える。
この車の中で眠っていないのは俺とライトだけのようだった。
運転席に座ってタバコをブハブハ吸っている奴を除いては。
「……ごめん」
「ん?」
と、唐突にライトがうつむきながら謝ってきた。
気のせいか、頬を伝って涙が流れている様にも見える。
いや、気のせいじゃない。
コイツは今、確実に泣いている。
身体を震わせながら、本当に申し訳なさそうに。
「……お前」
「ただでさ、お前の日常を壊しただけでも……最低なのに、それどころか……私は……お前らを見捨てようとした。それだけじゃない……お前だけじゃなく、ここに居る奴ら全員の……」
日常を壊した、と彼女は呟いた。
口元に手をあてながら、涙を流すライト。
その涙を見て、俺はある事を確信した。
どうして、初めてコイツを見た時に……強がっている様に見えたのか。
きっと、どこかで無意識に、感じ取ったんだろう。
〝コイツは、弱い人間〟って事に。
弱い癖に、強がって、全てを拒絶する大馬鹿野郎だ。