第二章 友達の絆 126 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「……コイツが、エレナを拐った犯人……」

と、低く冷めた声で護が呟いた。

私は視線を護に向ける。

そこには今までのコイツからは想像出来ない、そんな表情でグリードを睨みつけている護の姿があった。

仲間に恐怖を味あわせた事に対しての怒りからか、拳を力強く握り締めている。

コイツは本当にお人好しで、裏心の無い仲間思いな奴なんだ。

今の時代、こんな奴が居るのはホント珍しい。

バカが付くほどの仲間思いだろう、きっとコイツは。

「お前は、真っ直ぐな人間なんだな」

「え?」

護は驚いたかのような表情で私に顔を向けてくる。

その時、偶然にも護と目が合った。

「……あ」

私は反射的に護から顔を逸らす。

そんな私の動作を不振がるかのように首を傾げる護。

「……ひょっとして、褒めてる?」

「違う、褒めてなんてないッ!」

そう怒鳴るように私は答えた。

すると護は優しく微笑みながら――

「素直じゃねぇなお前」

と、嬉しそうに呟いた。

くそ、なんだってコイツはすぐに笑うんだ。

「ところでライト、その傷は大丈夫なのか?」

「……え、傷?」

「忘れてんのか……ホラ、ほっぺの切り傷だよ。さっきあの野郎にやられたろ」

そう言えばそうだった。

あまり痛みが無いからそこまで気にする事でもないけど。

切り傷がある左頬を手で少し触ってみる。

まだ傷口が完全に塞がっていないのか、触った指に赤々しい血がついた。

「傷口はまだ完全に塞がってないけど、まぁ放っておいて大丈夫だろ」

頬の傷なんてそこまで気にするほどでもない。

私はため息をつきながら護に向き直る。

と、その時――

「――え……?」

突然護が私の左頬に優しく触れてきたのだ。

あまりにも突然すぎて私は何も言えず、ただ頬を優しく撫でる護を見める。

すると護は空いている手で自分のズボンのポケットの中を弄り出した。

そしてそのポケットから取り出したのは、何やら子アザラシのイラストが描かれた絆創膏だった。



/続く




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