「やった、のか……?」
倒れ込むグリードを見つめながら護はホッと胸をなでおろす。
それにつられるように私はホッと息を吐いた。
ふと、私はグリードの左腕に見つめる。
コイツの腕を、どこかで見た覚えがあるのだ。
そして脳内にさっきマンションの一室で見た光景が再生される。
窓際で身体を震わすエレナを呼び求める愛花の足元に転がっていた右腕。
確か、その右腕だけは女性の腕の物とは違っていた覚えがある。
「――そうか、そう言う事か」
殺意混じりの低い声で呟く。
怒りで身体が震える。
そう、間違いなく今目の前で死んでいるコイツが今回の連続誘拐事件の犯人なのだろう。
そして私とアイネに情報をくれた男を猫の餌にしたのも恐らくコイツだ。
力強く拳を握りしめる。
もっと早くコイツが犯人だと気づいていれば殺さなかったってのに。
私は目の前の死体を睨みながら舌打ちをする。
「どうかしたか? ライト」
苛立つ私に護は声をかけてきた。
私は振り向き、護に視線を向ける。
すると何故か、不思議な事にコイツの顔を見た瞬間、今さっきまで募らせていた殺意や怒りが和らいでしまったのだ。
護は首を傾げたまま私を見つめる。
そう言えば、コイツはさっき私を助けてくれたのだっけ。
思えば、これで二度目だ。
廃墟で私に向かってくるアヴェンジャーに消化器を投げつけて助けてくれた。
そして今度は伸びるグリードの剣を鉄パイプで私の身体を貫く直前に叩き落としてくれた。
……何だか、今日はコイツに助けられてばかりな気がする。
何の力もなくて、誰よりも無力な奴のくせに。
「……いや、もう少し早く気づけば良かったって後悔してるだけだよ」
「後悔?」
「あぁ、コイツが誘拐犯だって事にさ」
私がそう言うと護は驚いたかのような表情を浮かべる。
私はもう一度倒れるグリードに視線を向けた。
今更後悔しても殺してしまったのは仕方がない。
本当は捕獲してあらいざらい吐き出させたい所だったが。
/続く