「おい、ライト?」
と、気がついたら目の前に護の姿があった。
「な、なんだ……」
「いやさ、火野川から今聞いたんだ。お前がエレナをここまで抱えて来てくれたんだってな」
すると彼は私の前に座り込み――。
「ありがとな、ライト」
そう、優しく微笑みながら、私にとっては意味の無いお礼を口にした。
そう言えば、同い年の奴にありがとうなんて言われたのは、アイネを除くと始めただった。
私は護のお礼の言葉に、何故か何も言い返す事が出来なかった。
なだ呆然と目の前の少年を見つめる。
―― そう、嫌いだったんだ。友達なんて面倒な存在は。
―― けど、コイツらを見ていると……。
―― そんなに友達って言うのも、悪くない物なんじゃないかって、思えてしまう。
そんな事を心の中で思っていた、その時だった。
ドクン、と心臓の鼓動がハッキリと聞こえてくる。
何だ、この、感じは……。
胸が、苦しい……。
〝来たぞ、来たぞ、来たぞライトッ!!!〟
私に憑いている悪魔がそうゲラゲラと笑い始める。
私は舌打ちをしながら立ち上がる。
「ん? どうしたライト」
護のその言葉を無視して私は706号室へと視線を向ける。
〝ヒヒヒ、来たぜライトッ! 今日は何匹喰えるんだぁ!?〟
「黙れッ!」
私の怒鳴り声に和かに会話をしていた愛花達が顔を向けてくる。
彼女達にとって、私が誰に向かって怒鳴ったかなんて分からないだろう。
けど、それでも今の悪魔の言葉は癇に障った。
〝なんだよぉ、今になって普通に生きようって思ったのか?〟
「どう言う意味だ、それはッ!」
そんな私の声をかき消すかの様な鳴き声が706号室から聞こえてきた。
そしてヌチャヌチャと汚い音をならしながらその鳴き声の主は私達の前に姿を表した。
部屋に転がっていた三十人の女の死体に黒い蛇の様な物が巻きついている。
/続く