間違いない、あの形の奴は初めてだが、あの黒い蛇はアヴェンジャーだ。
「ちょっ、あれなんぞッ!?」
背中の方から動揺する坂口の声が聞こえてくる。
そうだった、神崎護を除いてここにいる奴らはアヴェンジャーを直接見るのは初めてなんだ。
「うぅ……、や、めて……」
ふと、そんな声が後ろから聞こえてきた。
振り向くとそこには苦しそうに頭を抱えているエレナの姿。
身体をまた震わせながら、何かブツブツと呟いている。
「私に、押し付けないで……、そんな感情、押し付けないでッ!!」
甲高い悲鳴を上げながらエレナはその場に倒れ込む。
「エレナ! どうしたのエレナッ!!」
そんなエレナの身体を抱き上げながら愛花は必死にエレナの名前を呼ぶ。
しかしエレナには愛花の声は耳に届いていないようだった。
すると、前の方からヌチャヌチャと汚らしい音を鳴らしながら近づいてくる化け物共。
私は屍を操るアヴェンジャー達に顔を向ける。
何だって今ここで現れるんだ、タイミングが良すぎる気がする。
それとも誘拐犯が戻ってきたってのか?
けど今はそんな事はどうでも良い、今やるべき事はどうやってコイツらを生かすかだ。
昨日みたいに一人だけじゃない、今回は最悪な事に五人もの一般人がいるのだ。
そうなると私の取るべき行動は一つだった。
「お前らは先に行け」
悪魔との契約の証である刻印が刻まれた右腕を前方に伸ばす。
「先にって、ライトはどうする気なの?」
「私はコイツらを殺す。その為にもお前らは邪魔なんだよ」
心配する愛花に私は突き放すようにそう言った。
黒い渦が私の右腕全体を被う。
そして右水平に薙ぎ払うと、その瞬間、私に右手には黒い日本刀が作り出されていた。
私は日本刀の尖端を目の前の化け物に突きつける。
「悪く思うなよ、アンタの身体を傷つけるつもりはなかったけどさ」
アヴェンジャーが絡みつき、自らの身体としている屍に対して謝罪する。
そして後ろの五人に顔を向けた。
愛花や坂口、極道の三人は何か幻想を見たかのような表情で呆然と私を見つめている。
/続く