第二章 友達の絆 95 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

人がよさそうだから、誘拐犯でもきっと良心があると思っていたのだ。

が、そんな彼女の思いは簡単に打ち砕かれた。

グリードは今までの彼とは思えない様な笑みを浮かべている。

そしてエレナの耳をベロり舐め上げた。

「ヒヒッ、大事な大事な耳だからなぁ~、丁重に丁重に」

身体がさらに激しく震える。

エレナはもう頭の中が真っ白な状態になっていた。

そんなエレナを見ながらグリードはゲラゲラ甲高い笑い声を上げる。

「や、やだ……」

消えそうな小さな声での呟き。

グリードはエレナの恐怖する顔を楽しみながら彼女の身体を押し倒した。

そして馬乗りになり、エレナを殺意満ちた視線に見下ろす。

「さぁ~嘆けクズ共ッ! この女にありったけぶちまけてやれやァッ!!」 

そのグリードの叫びと同時に――。

『タスケテッ! タスケテッ!』

魂の嘆き声が脳に投げれこんできた。

「いや、いや、いやぁぁぁぁあッ!!!」

さっき味わった頭痛よりも激しい痛み。

エレナは自由にならない身体を必死に揺らす。

地面を何度も蹴りつけ、グリードから逃れようとする。

が、馬乗りになっているためその抵抗も虚しい物だった。

やがてエレナは激しい抵抗はしなくなり、身体をピクピクと痙攣させる。

口端からはヨダレが垂れ流れ、悲鳴にすらなっていない声を上げる。

「ヒヒヒッ! 良いねぇ~その顔! 女が絶頂に達する時の顔みたいだなぁオイ」

エレナの虚ろな表情を舐めまわす様に見つめながらグリードは黒く鋭い刃をした剣を右手に作り上げる。

そしてエレナの耳に黒い刃を近づけていく。

「あ、ぁ、カッ! え、あヵ……」

もう半分意識が無い状態なエレナは痙攣する身体をくねらせ、グリードの剣から逃れようとする。

が、そんなエレナの柔らかな腹にグリードは拳を容赦なく叩き込んだ。

その衝撃で喘ぎ声にもならない声を上げる。

激痛にエレナは涙を流しながら無意識に周りを見渡した。

と、気が付けば周りには何人もの人間が横たわっている。

そそてそのどれもが耳が切断されていた。

(私も、ああなるのかな……)

心でそう呟きながら、ああなった自分の姿を想像する。

今まで〝死〟と言う物は近くに存在していないと思っていた。

だがそれはただの勘違いで、実際に〝死〟と言うのはこんなにも近くにいたのだと、エレナは心の底から後悔した。




/続く



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