私も似たような物だが、アイネに比べたらまだ軽いのかもしれない。
だから私は、そうなってしまったアイネに稀だがこんな甘い口調で接してやった事もあった。
そして今回が二度目、だ。
何でそんなにも心が弱いのに、軍人なんかになったのか。
「お待たせして、申し訳ありません」
後ろの方からそんな声が聞こえた。
振り返ると、そこにはナイトタウンの警官が五人。
「貴方が連絡をくださった、ライト・クライスさんですか?」
「あぁ、そうだ」
「遅れてしまい、申し訳ありません。で、現場は?」
私は嫌々路地裏の方へと指さした。
すると警官五人は互いに視線を交わし、路地裏へと走って行く。
私はため息をしながらアイネの隣に腰を下ろした。
アイネはさっきから一言も喋らず、私の貸したコートをぎゅっと握り締めている。
いつもは鬱陶しい程にうるさい奴なのに。
こんなにも無口になると正直、心寂しさを感じてしまう。
「ごめんね……ライト……」
と、黙り込んでいたアイネが口を開けた。
「私……軍人なのに……ダメだよね。死体見ただけで、こんなに……壊れちゃう」
アイネは自分の両手を見つめる。
まだ、震えている自分の手を。
「……ライトの役に立ちたいって思って、魔術身に付けたのに……結局は肝心な時は使えないしさ……。そのせいでライトにも迷惑かけてるしさ……、アメリカの軍に居た時も周りから馬鹿にされるし、だから私……ここに送られたんでしょ?」
泣きながら、訴えるようにアイネは言葉を続ける。
「私ってさ……なんのために、居るのかな? やっぱり、あの時……母さん達と死んでた方が良かったのかな……」
私はもう、我慢の限界だった。
泣きじゃくりながら自分を罵倒するアイネを思わず抱き寄せる。
優しく、それでも力強く抱きしめた。
「……死んで良いなんて事、絶対にない」
胸の中で身体を震わせながら泣くアイネに優しくそう言葉を掛ける。
/続く