身体を震わせながらベンチに座り込んでいるアイネを私は見つめる。
どうやらかなりショックだったらしい。
正直、私でも吐き気がしたほどだ。
死体は見慣れているし、酷い状態の物なんて腐るほど見てきた。
アメリカ軍の任務で無意味と言っても良いアヴェンジャー迎撃作戦。
多くの仲間の兵士が奴らに食われていくのもイヤと言うほど見せつけられた。
けど今回のは少しゾッとする。
猫と言う、日常的に人間と接している生き物だからこなのだろうか。
まぁ、猫は自分の子供を食べるなんて言うしな。
結局あの後、私達は表通りに出てナイトタウン警察署に連絡を入れた。
アヴェンジャー絡み、とまだ断言出来ないが、人が死んだのは確かだから。
アイネは両肩を摩りながら恐怖に身を震わせている。
一年前、アイネとは何度か任務で同行した事はあった。
しかし彼女は死体を見ただけで悲鳴を上げ、その場にしゃがみこんでしまうのだ。
すっかり、忘れてた……。
アイネがそう言う奴だって覚えておけば、あの時アイネだけ表通りに戻したのに。
私は自分の軽率な行動にイラっときて壁に拳を叩きつけた。
正直、あの時私はアイネの事なんて全然考えていなかった。
もしかしたらアヴェンジャーは誰かに従っている存在なんじゃないか。
そう思った瞬間に頭に血が登っていた。
怒り、殺意、復讐心。
そんな事だからコイツの事も気にかけてやれなかった。
言ってしまえば、自己中心的な行動だったと思う。
私はベンチに座るアイネの頭を優しく撫でる。
「……ごめんね、アイネ」
つい、〝以前の私〟の言葉を使ってしまう。
こんな甘い口調でアイネに接したのは二度目でもある。
アメリカ軍でのアヴェンジャー迎撃作戦の時。
街には多くの人間の死体が転がっていた。
普通の死体もあれば、胴体が引きちぎられた死体。
首だけが転がっている、なんて事もあった。
そんな世界を目にしたアイネは泣き崩れた。
コイツは〝死体〟を見てしまうと我を忘れたかのように泣き叫ぶ。
以前の上官の話では、コイツは目の前で両親をアヴェンジャーに殺されたんだとか。
しかも醜く、残酷に身体中をかき回すかのように。
/続く