「パフェ、溶けちゃいますよ?」
「え、あ、あぁ、やべぇッ!」
既にパフェは綺麗な形ではなくなっていた。
ドロンとカップにクリームが溜まっている感じ。
「パフェは綺麗な形の時に食べた方が美味しいのに~」
エレナは残念そうにドロリと形を崩した俺のパフェを見つめる。
正直、俺はあまり甘い物は好きではない。
どちらかと言えば、塩っぱい物の方が好みだ。
「何なら食うか? 俺そこまでパフェ好きじゃなーし……」
「良いんですかッ!?」
確認の言葉を発した次の瞬間、俺の目の前からパフェが無くなっていた。
カップはあり、パフェその物が一瞬で消えたのだ。
俺はゆっくりとエレナに顔を向ける。
頬をぷっくりと膨らませながらもぐもぐしている所を見るなり、彼女の口の中にパフェは消えて行ったのだろう。
「エレナ、アンタ手品師か何か……」
エレナの刹那の早食いに火野川はそう言った。
坂口と龍二も目を点にしながらエレナを見つめている。
けれど、そんな俺達はお構いなしにエレナはもぐもぐとパフェを食べている。
「ごくん、いや~美味しかったです。さて、では盛り上がってきた所でッ!」
「アンタが勝手に盛り上がってるだけでしょうッ!」
「いにゃ~、パフェ食べると私って酔う体質らしくて~」
『どんな体質だッ!』
今度は俺達四人同時にエレナにツッコミを入れる。
しかしそんな俺達のツッコミをスルーしてエレナはポケットから何かを取り出した。
そしてポンとテーブルの中心に何かカードの様な束を置く。
「……何これ」
「あれ、知りませんか? タロットカードですよ」
「タロットカードって、アンタ占い好きだったっけ?」
「好きって言うか、興味があったんですよ。大丈夫です、ちゃんとやり方もバッチリ把握してますから」
エレナはそう言いながら中心に置かれたタロットカードの束を手に取る。
そして、慣れない手つきで切り始めた。
その度に何枚かカードがエレナの手元からパラパラと落ちる。
「うぅ~、カード切るのって難しいですねぇ~」
苦笑いしながらエレナは落ちたカードを拾う。
そして再び切り始めるも、またカードが何枚かテーブルの上に落ちた。
それでもエレナはめげずに落ちたカードを拾う。
そして一生懸命にカードを切る。
勿論、慣れていないからまた何枚かテーブルに落ちているのだが。
/続く