そんな時だった。
司令室のドアがコンコンと音を立てる。
そしてガチャリとドアが開いた。
銀のトレイを持った騎士団員。
「失礼します、コーヒーをお持ちしました」
「あぁ、すまないな。そこに置いてくれ」
ハッ、と締まった返事をすると騎士団員は私の前にある長机にコーヒーカップを二つ置いた。
「他にご要件は?」
「ない、下がって良いぞ」
頭を下げると、騎士団員の男は司令室のドアへと向かう。
「待て、そこの軍人」
私の呼び止めに騎士団員は呆然と顔を向ける。
私に呼び止められる事が予想外だったのだろうか。
「は、はい、なんでしょうか?」
「ミルクと砂糖……」
私がそう言うとエリックは深いため息をつく。
「君は、その歳でミルクと砂糖を入れないと飲めないのかね?」
「良いだろそんなのッ! 私の勝手だッ!」
吠える様に言うとエリックは両耳を抑える。
「まったくよく吠える……」
「あ、あの……大佐」
「あぁ、悪いが持って来てくれるか」
エリックの言葉に騎士団員の男は再び頭を下げると司令室から出ていった。
私は無言のまま目の前に置かれたコーヒーカップを睨みつける。
大人はよくこんな不味い物を飲める、と今でも思う。
「コーヒーと睨めっことは変わった遊び方だな」
顔を向けず、視線だけエリックに向ける。
「それで、どうして二つなんだ」
「それは決まっているだろ、君以外にも客が来るからだよ」
「その客、依頼と何か関係あるのか?」
あぁ、とエリックは言いながらコーヒーを口に運ぶ。
/続く