第二章 友達の絆 16 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「それで、依頼って」

司令室に入るなり私は椅子に腰を掛けるエリックにそう言った。

エリックはガラス張りの窓の外の風景を眺めている。

「何だね、ノックもしないあげくに〝おはよう〟の一言も無しか?」

コーヒーカップを口に運びながらエリックは私に笑い混じりにそう言った。

私は無言のままエリックの机の前に置かれている長ソファーに腰を掛ける。

するとエリックもコーヒーカップを机に置くと、自身の椅子に腰を降ろした。

相変わらず口元をニヤかせながら、私の事をじっと見つめている。

「何だ、早く仕事の内容を教えろ」

「そんなに急ぐな、まだ〝彼女〟が来ていないのでな」

彼女?

依頼主か何かだろうか。

「なに、仕事の話は一先ず今は置いておこう。ところで――」

「昨日の事なら私が悪かった。お前の指示無しに動いたからな、反省してます」

両手を上げてエリックに軽く謝罪する。

するとエリックはアハハ、と声を上げて笑った。

「いやいや、昨日の事は我々にも予想外の事だった。君のあの行動が無ければ、住民の一人や二人は死んでいただろう。アヴェンジャーが出現したのに死者ゼロ人、と言うのは世界的にも異例の出来事だ。君には感謝しているよ」

笑顔で私にそう言うと、エリックは机に設置されているボタンを押した。

「すまないが、客人にコーヒーを持って来てくれ。あぁ、二つで構わん」

外部通信器なのだろうか。

「今君の分の飲み物も来る。少し待っていてくれ」

ボタンから指を離すエリックを私はじっと見つめる。

「ん? どうかしたか」

「何で二つも頼むんだ、あとコーヒーは嫌いだ」

「まったく駄々を捏ねる歳では無いだろ、〝赤毛犬〟」

「ほざけ、〝エロ大将〟」

互いにビリビリと視線がぶつかる。



/続く



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