「それで、依頼って」
司令室に入るなり私は椅子に腰を掛けるエリックにそう言った。
エリックはガラス張りの窓の外の風景を眺めている。
「何だね、ノックもしないあげくに〝おはよう〟の一言も無しか?」
コーヒーカップを口に運びながらエリックは私に笑い混じりにそう言った。
私は無言のままエリックの机の前に置かれている長ソファーに腰を掛ける。
するとエリックもコーヒーカップを机に置くと、自身の椅子に腰を降ろした。
相変わらず口元をニヤかせながら、私の事をじっと見つめている。
「何だ、早く仕事の内容を教えろ」
「そんなに急ぐな、まだ〝彼女〟が来ていないのでな」
彼女?
依頼主か何かだろうか。
「なに、仕事の話は一先ず今は置いておこう。ところで――」
「昨日の事なら私が悪かった。お前の指示無しに動いたからな、反省してます」
両手を上げてエリックに軽く謝罪する。
するとエリックはアハハ、と声を上げて笑った。
「いやいや、昨日の事は我々にも予想外の事だった。君のあの行動が無ければ、住民の一人や二人は死んでいただろう。アヴェンジャーが出現したのに死者ゼロ人、と言うのは世界的にも異例の出来事だ。君には感謝しているよ」
笑顔で私にそう言うと、エリックは机に設置されているボタンを押した。
「すまないが、客人にコーヒーを持って来てくれ。あぁ、二つで構わん」
外部通信器なのだろうか。
「今君の分の飲み物も来る。少し待っていてくれ」
ボタンから指を離すエリックを私はじっと見つめる。
「ん? どうかしたか」
「何で二つも頼むんだ、あとコーヒーは嫌いだ」
「まったく駄々を捏ねる歳では無いだろ、〝赤毛犬〟」
「ほざけ、〝エロ大将〟」
互いにビリビリと視線がぶつかる。
/続く