何故この状況で冷静でいられるのか。
気が付けば俺の足は震えていた。
今までの日常が崩れていく感覚。
当たり前の毎日が崩れていく予感。
「やることって、何やるってんだよ!?」
俺は無意識にライトの両肩に手を乗せていた。
「早く逃げねーと死んじまうんだぞ!? お前だって知ってるだろ、アヴェンジャーって化け物の事はッ!」
必死にライトの体を揺らす。
しかしライトは俺の手を払い除けると、じっと俺を睨みつけてきた。
蒼い目が俺を睨む。
「あぁ、知ってるよそれくらい」
「なら何で!」
「逃げるなら一人で逃げろ、そう言っただろ」
そう言うとライトは俺を横切り、第三ブロック方面へと向かっていく。
「バカ野郎! そっちに化け物が居るんだぞ!」
俺はライトへと駆け寄り彼女の右手を掴む。
どこまでもコイツの行動が分からない。
するとライトは俺に顔を向ける。
「お前、しつこいぞ」
「お前、何する気なんだよッ!」
俺がそう言った瞬間だった。
ライトの体から、何か黒いオーラの様な物が滲み出ているのだ。
俺は思わず彼女から手を離す。
「な、何だ……それ」
黒いオーラは彼女の右腕から滲み出ているようだった。
「魔術……なのか?」
俺のその言葉にライトは口元を歪ませた。
何故か今の彼女からは人間性が感じられない。
どちらかと言えば化け物の様に感じてしまう。
一歩俺はライトから下がる。
と、背中の方から爆発音が鳴り響く。
振り返ると公園の近くに止まっていた車が爆発したようだった。
その周りを逃げていた人間が体を震わせながら地面に倒れている。
足がさらに震える。
〝もうこの近くにいる……!〟
/続く