周りから音が無くなる。
まるでライトの一言で世界が死んだかの様に静かになる。
「死んだって、誰が?」
彼女の言葉の意味が俺には分からない。
「ライアン・クライス、私の弟だよ」
俺に顔を向け、睨みつけながら彼女はそう言った。
そのライトの一言で、俺はさっきの彼女の悲しそうな表情の意味を理解した。
どれだけ自分がバカな事を聞いたのか、今更後悔してしまう。
「死んだって、何で……」
聞いてはいけない、そんな事は分かってる。
けれど、聞かずにはいられなかった。
と、そんな時だった。
甲高いサイレンが響きわたる。
俺はベンチから腰を上げる。
周りの通行人も何事かと辺りを見回している。
するとサイレン混じりに放送が流れた。
『第一エリア、第三ブロックにてアヴェンジャーの存在を確認しました。住民の皆さんは速やかに避難シェルターに向かってくださいッ!』
その放送に周りの人間が一斉に声を上げる。
「お、おい! 第三ブロックって近いじゃねーかッ!」
「逃げましょう! 早く!」
「ついに日本にまで来やがったぞぉぉ!」
皆必死に避難シェルターへ向かって行く。
「どうなってんだ……!」
今でも何が起こったのか理解できない。
アヴェンジャーと言う怪物の存在は知っている。
でも日本には今だ一度も現れた事なんてない。
もっと言ってしまえば、現れないとまで言われたいた程だ。
その為、避難訓練なんてした事もない。
頭が真っ白になる。
今起きている事態が信じられないでいる。
するとライトはベンチから立ち上がる。
そして携帯を取り出し、地図を開いた。
「お、おい! こんな所に居る場合じゃない、逃げるぞ!」
「逃げるなら一人で逃げろ。私はやる事がある」
ライトは携帯の画面を見ながら即答した。
/続く