第一章 復讐者 66 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

周りから音が無くなる。

まるでライトの一言で世界が死んだかの様に静かになる。

「死んだって、誰が?」

彼女の言葉の意味が俺には分からない。

「ライアン・クライス、私の弟だよ」

俺に顔を向け、睨みつけながら彼女はそう言った。

そのライトの一言で、俺はさっきの彼女の悲しそうな表情の意味を理解した。

どれだけ自分がバカな事を聞いたのか、今更後悔してしまう。

「死んだって、何で……」

聞いてはいけない、そんな事は分かってる。

けれど、聞かずにはいられなかった。

と、そんな時だった。

甲高いサイレンが響きわたる。

俺はベンチから腰を上げる。

周りの通行人も何事かと辺りを見回している。

するとサイレン混じりに放送が流れた。

『第一エリア、第三ブロックにてアヴェンジャーの存在を確認しました。住民の皆さんは速やかに避難シェルターに向かってくださいッ!』

その放送に周りの人間が一斉に声を上げる。

「お、おい! 第三ブロックって近いじゃねーかッ!」

「逃げましょう! 早く!」

「ついに日本にまで来やがったぞぉぉ!」

皆必死に避難シェルターへ向かって行く。

「どうなってんだ……!」

今でも何が起こったのか理解できない。

アヴェンジャーと言う怪物の存在は知っている。

でも日本には今だ一度も現れた事なんてない。

もっと言ってしまえば、現れないとまで言われたいた程だ。

その為、避難訓練なんてした事もない。

頭が真っ白になる。

今起きている事態が信じられないでいる。

するとライトはベンチから立ち上がる。

そして携帯を取り出し、地図を開いた。

「お、おい! こんな所に居る場合じゃない、逃げるぞ!」

「逃げるなら一人で逃げろ。私はやる事がある」

ライトは携帯の画面を見ながら即答した。



/続く



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