俺は恐る恐る顔を彼女に向ける。
「な、何か顔に付いてるか? 俺」
頬に人差し指を当てながら俺はそう言った。
ライトは軽いため息をつくと、公園の噴水の方へ顔を向ける。
彼女の視線を追うとそこには仲の良さそうな姉弟が遊んでいた。
そのすぐ近くには姉弟を暖かい目で見守る夫婦の姿。
そういえば、最近は親に連絡を入れてないな。
そんな事を思いながら姉弟を呆然と見つめる。
「元気そうな姉弟だな」
ライトは姉弟を眺めながらそう呟いた。
どうしてだろう、どこか悲しそうで、羨ましそうな顔をしている。
「お前は姉弟とか居るのか?」
俺がそう言うと何故かライトは顔を下に向けてしまった。
髪が両目を隠し、どんな表情をしているのか分からない。
しかし彼女は肩を小さく震わせていた。
何かに怯えるかのような、そんなふうに。
「ライト?」
「居る」
小さい声で彼女はそう呟いた。
「へー、以外だな。今はどこに居るんだ?」
「どうだって良いだろ、そんなの」
「何だよ、教えてくれたって良いだろ」
俺がそう言うとライトは顔を背ける。
何故か彼女の拳が強く握られていた。
何かに耐える様な、そんな感じに。
それ程まで姉弟の事を聞かれるのが嫌なのだろうか。
俺はため息をしながら再び噴水へと顔を向ける。
先程の姉弟の姿は無い。
もう帰ってしまったのだろうか。
時刻は午後三時五十九分。
ここの噴水は四時になると一時的に水が止まる仕組みになっている。
何でそんな仕組みにしたのかは知らないが。
あまり会話の無いこの状況で無音になるのはかなり耐え難い。
俺はそろそろ帰ろう、とライトに言おうとした時――。
「死んだよ」
震えた声で、小さな声で、そんな言葉を口にした。
ライトのその言葉と同時に、噴水の水が止まる。
/続く