第一章 復讐者 64 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「なぁ、お前」

と、一言話さなかったライトが俺に話しかけてきた。

「ん、どうかしたか?」

「私の……どこが強がって見えるんだ?」

その言葉に一瞬ためらう。

「どこがって言われてもな……。ただそう思っただけだけど?」

「答えになってない」

食べ終えたホットドックの袋を握りつぶし、ライトはコートのポケットに突っ込む。

そして先程の俺同様、空を見上げた。

「何でそう思ったんだ」

低い声で彼女はそう呟く。

「何でって言われてもな……。って、お前まだ怒ってんのか?」

怖々と彼女にそう問う。

もしかしたら殴られるかするかもしれない。

それくらいの覚悟は出来てはいるけど。

しかし、そんな俺の予想はあっさりと裏切られた。

「別に怒ってないよ」

ライトは軽くそう呟いた。

一瞬耳を疑う程だ。

いや、コチラとしては助かるのだが。

「ただ、初めてだったからさ。あんな事言われたの」

囁く様に彼女はそう言うと、再びストローをすする。

そして飲み終えたのか、紙コップを公園のゴミ箱に投げ込んだ。

紙コップは残りの水分をこぼす事なく見事にゴミ箱に入る。

入る事を確認すると、ライトは俺へと顔を向けてきた。

ただ何も言わずに蒼い目が俺を見つめてくる。

俺は視線を逸らしながらホットドックを口に運ぶ。

「何で目を逸らす」

「見つめ合いながら食わなきゃいけない規則でもあんのかよ?」

くだらない言い訳をしながら俺はムシャムシャとパンを口に運ぶ。

しかし、残り少なかったホットドックは数秒で消滅してしまった。

袋をポケットにしまい込む。

何故かは分からないが、ライトはまだコチラを見つめている。



/続く



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