「クッ! 離せこのクソオタク!」
ズルズル俺ごと引きずりながら赤コートの女は渡り廊下へ出る。
「頼む! じゃ何か買ってやるから!」
「私は子供じゃないんだぞ!?」
「嘘つけ! 俺らと同い年だろうが!」
もしこのままこの女に許してもらえなければ、間違いなく火野川に焼かれる。
いや、下手すると天国に行かされる可能性も無くはない。
と、気が付けば俺達は既に昇降口に到着していた。
「お前、いい加減に離れろ!」
しがみつく俺を赤コートの女が蹴りつけてくる。
そのせいで俺は両腕を彼女の腰から離してしまった。
「のわ!?」
ズドンと、頭を床に激突させる。
おデコを抑えながら頭を上げると、赤コートの女が俺を見下ろしていた。
俺は視線を逸らすため、渡り廊下の方へと顔を向ける。
って、アイツら追いかけて来てないぞ。
俺がこんな目にあってるにも関わらずスルーするなんて!
目から涙を流しながら俺はその場にうずくまる。
と、その瞬間だった。
ギュ~~っと、力が抜ける様な音が昇降口に響きわたる。
腹の音か?
でも昼はちゃんと食ったから、俺な訳ないし。
「もしかして……」
俺は目の前の少女へと顔を向ける。
少女はさっきまで俺を見下ろしていた顔を背けていた。
どうやら俺の予感は当たっていたらしい。
俺はフラフラと立ち上がる。
「お前、腹減ってんの?」
俺のその言葉に目の前の少女は体をピクっとさせた。
「……食べてくるの忘れたんだよ」
小さな声で彼女はそう呟く。
そいてコチラにチラっと顔を向けてきた。
どこか恥ずかしそうな顔をしている。
とてもさっきの彼女とは思えない。
/続く