第一章 復讐者 60 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「何だそれ」

「二次元m同盟部員の証明バッチだよ。因みに俺が作ったんだぜ?」

「だから、入部する気はないって言ってるだろ!」

「じゃー、付けとくだけで良いよ」

俺は彼女の赤コートの胸部分に缶バッチを取り付ける。

赤色の缶バッチは目の前の少女には似合っていた。

と言うより、この女には赤色の物なら何でも似合うのではないだろうか。

「おい! 何勝手に付けてるんだ!」

「付けてるだけで良いって言ったろ? あとホレ、この部室のスペアキー」

部室のスペアキーを彼女に差し出す。

「まぁ、暇な時とかに好きに使って良いからさ」

しかし彼女は鍵を受け取ろうとしない。

仕方ないないので俺は赤コートの胸ポケットにスペアキーをいれ込んだ。

「何様だ、お前……」

「あ……」

彼女のその言葉に、火野川との約束を思い出す。

昨日、食堂でコイツに失礼な事言っちまったんだっけ。

「えーっとー」

髪をかきながら彼女から視線をそらす。

正直、言いにくい。

素直に誤って許してくれそうな奴にも思えないし。

俺はしばらく考え込んでから口を開いた。

「あのさ、昨日は……その、わりぃ事した、謝る」

深々と頭を下げる。

その瞬間、床にスペアキーと缶バッチが叩きつけられた。

俺はとっさに顔を上げる。

すると目の前の少女は鋭い目付きで俺を睨んでいた。

「あ……、そのだな、本当に悪かったと思ってるんだぞ?」

子供を宥めるような声になりながら必死に言葉を口にする。

「いい加減にしろよ……。勝手に話を進めるは、さりげに昨日の事を謝るは」

目の前の少女は低い声でそう言いながら俺に背を向ける。

そしてそのまま渡り廊下へと向かって行った。

「って! ちょっと待ってくれ!」

俺は立ち去ろうとする彼女の右肩を掴む。

「チッ! 何だよこのクソオタク野郎!」

「いや、本当に悪かったと思ってんだって! 頼む許してくれ! でないと火野川にまた焼かれちまうんだよ!」

「お前が焼かれようが私の知った事じゃない」

そう言いながら彼女は渡り廊下へと足を動かす。

俺はそんな彼女に必死にしがみついた。



/続く



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