「何だそれ」
「二次元m同盟部員の証明バッチだよ。因みに俺が作ったんだぜ?」
「だから、入部する気はないって言ってるだろ!」
「じゃー、付けとくだけで良いよ」
俺は彼女の赤コートの胸部分に缶バッチを取り付ける。
赤色の缶バッチは目の前の少女には似合っていた。
と言うより、この女には赤色の物なら何でも似合うのではないだろうか。
「おい! 何勝手に付けてるんだ!」
「付けてるだけで良いって言ったろ? あとホレ、この部室のスペアキー」
部室のスペアキーを彼女に差し出す。
「まぁ、暇な時とかに好きに使って良いからさ」
しかし彼女は鍵を受け取ろうとしない。
仕方ないないので俺は赤コートの胸ポケットにスペアキーをいれ込んだ。
「何様だ、お前……」
「あ……」
彼女のその言葉に、火野川との約束を思い出す。
昨日、食堂でコイツに失礼な事言っちまったんだっけ。
「えーっとー」
髪をかきながら彼女から視線をそらす。
正直、言いにくい。
素直に誤って許してくれそうな奴にも思えないし。
俺はしばらく考え込んでから口を開いた。
「あのさ、昨日は……その、わりぃ事した、謝る」
深々と頭を下げる。
その瞬間、床にスペアキーと缶バッチが叩きつけられた。
俺はとっさに顔を上げる。
すると目の前の少女は鋭い目付きで俺を睨んでいた。
「あ……、そのだな、本当に悪かったと思ってるんだぞ?」
子供を宥めるような声になりながら必死に言葉を口にする。
「いい加減にしろよ……。勝手に話を進めるは、さりげに昨日の事を謝るは」
目の前の少女は低い声でそう言いながら俺に背を向ける。
そしてそのまま渡り廊下へと向かって行った。
「って! ちょっと待ってくれ!」
俺は立ち去ろうとする彼女の右肩を掴む。
「チッ! 何だよこのクソオタク野郎!」
「いや、本当に悪かったと思ってんだって! 頼む許してくれ! でないと火野川にまた焼かれちまうんだよ!」
「お前が焼かれようが私の知った事じゃない」
そう言いながら彼女は渡り廊下へと足を動かす。
俺はそんな彼女に必死にしがみついた。
/続く