私はそのままエントランスを出る。
学生寮の目の前には道路。
その道路を超えた先には綺麗な建物がいくつも並んでいる。
私は道路を渡ろうと、歩き出そうとした。
その時、丁度信号機の色が赤に変わる。
「チッ……」
つい舌打ちをしてしまう。
渡ろうとした時に変わるなんて、意地の悪い信号機だ。
信号が変わると止まっていた車が次々と走り出す。
赤い車、青い車、いろんな色の車が走っている。
こんな光景を見るのも久しぶりだ。
日本人にとっては当たり前の光景なのかもしれないけど。
今のアメリカではこんな光景は見られない。
と、一台の車が私の目の前で停車した。
ドアが開き、中から出てきたのは――。
「げ……」
「おや、これからお出かけか?」
白い軍服をまとったエリックだった。
相変わらず皮肉げな笑みを浮かべている。
「『げ……』と言う挨拶をするのは、君のポリシーなのかな、ライト君」
「何しに来た」
コイツがこんな所に来る理由が分からない。
いや、もしかしたら私の監視にでも来たのか?
「生憎、行儀の悪い〝赤毛犬〟の監視などしている暇はないのでね」
「あ、赤毛犬!?」
脳内に毛の色が赤い犬が浮かび上がる。
ワンワン吠えている映像が……。
「誰が赤毛犬だッ!」
叫ぶようにエリックに怒鳴りつける。
軍の犬ならまだしも赤毛犬って何だ!
「まったくよく吠える……」
「ぐぅ……」
エリックはやれやれ、と首を左右に振った。
「大佐、遊んでいる場合ではないのでは?」
と、車の中からもう一人誰かが降りてきた。
金髪のロングヘアーの女性。
エリック同様、白い軍服をまとっている。
腰には魔術騎士団のエンブレムが刻まれた剣。
どうやらエリックの護衛のようだ。
「あぁ、そうだったな。紹介しよう、彼女は私の護衛役のエリーカ・バードン准佐だ」
エリックは彼女の方に顔を向けながら私にそう言った。
「准佐、彼女がライト・クライスだ」
するとエリーカは私をじっと見つめてくる。
凛としたその顔は、どこかおっかない印象を与える物だ。
/続く