第一章 復讐者 46 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

私はそのままエントランスを出る。

学生寮の目の前には道路。

その道路を超えた先には綺麗な建物がいくつも並んでいる。

私は道路を渡ろうと、歩き出そうとした。

その時、丁度信号機の色が赤に変わる。

「チッ……」

つい舌打ちをしてしまう。

渡ろうとした時に変わるなんて、意地の悪い信号機だ。

信号が変わると止まっていた車が次々と走り出す。

赤い車、青い車、いろんな色の車が走っている。

こんな光景を見るのも久しぶりだ。

日本人にとっては当たり前の光景なのかもしれないけど。

今のアメリカではこんな光景は見られない。

と、一台の車が私の目の前で停車した。

ドアが開き、中から出てきたのは――。

「げ……」

「おや、これからお出かけか?」

白い軍服をまとったエリックだった。

相変わらず皮肉げな笑みを浮かべている。

「『げ……』と言う挨拶をするのは、君のポリシーなのかな、ライト君」

「何しに来た」

コイツがこんな所に来る理由が分からない。

いや、もしかしたら私の監視にでも来たのか?

「生憎、行儀の悪い〝赤毛犬〟の監視などしている暇はないのでね」

「あ、赤毛犬!?」

脳内に毛の色が赤い犬が浮かび上がる。

ワンワン吠えている映像が……。

「誰が赤毛犬だッ!」

叫ぶようにエリックに怒鳴りつける。

軍の犬ならまだしも赤毛犬って何だ!

「まったくよく吠える……」

「ぐぅ……」

エリックはやれやれ、と首を左右に振った。

「大佐、遊んでいる場合ではないのでは?」

と、車の中からもう一人誰かが降りてきた。

金髪のロングヘアーの女性。

エリック同様、白い軍服をまとっている。

腰には魔術騎士団のエンブレムが刻まれた剣。

どうやらエリックの護衛のようだ。

「あぁ、そうだったな。紹介しよう、彼女は私の護衛役のエリーカ・バードン准佐だ」

エリックは彼女の方に顔を向けながら私にそう言った。

「准佐、彼女がライト・クライスだ」

するとエリーカは私をじっと見つめてくる。

凛としたその顔は、どこかおっかない印象を与える物だ。


/続く

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!