「貴方が……そうですか」
何か分かったようにエリーカは首を小さく縦に振った。
そしてそのまま私を横切りエントランスへと向かっていく。
私は顔をエントランスに向かう彼女の背中へと向ける。
油断も隙もその背中からは感じられなかった。
「私がここに来た理由が聞きたいかな?」
と、私と同じくエリーカの背中を見つめるエリックがボソッとそう呟く。
私は彼の方へ視線を戻しギロっと睨みつける。
「別に興味ないけど」
「寮官である井上明子に呼ばれて来たのだよ」
井上明子?
寮官って事はあの婆さんの名前だろうか。
そういえば名前聞いていなかったっけ。
「何でも『アンタが寄こした娘について話がある』との事だったが?」
疑う様な視線を私に向けるエリック。
コイツは私が何かしでかしたとでも思っているのだろうか。
「言っとくけど、何もしてないからな」
「分かっているさ。おおかたの予想はついているの」
「何だよそれ」
「気にするな。それよりどこかに出かける様子だったが?」
エリックは微笑みながらそんな事を聞いてきた。
「あぁ、見学もかねて散歩と思ってな」
「なら、魔術騎士団員教育学院にでも行ってみてはどうだ?我々が経営しているのは君とて知っているだろ。一度は見ておく事をオススメするが?」
言って、SDカードを差し出される。
「何だそれ?」
「ここに学院までの経路などに関する情報が入っている。実はここに来たのはこれを渡す為でもあったのだよ。道が分からないと何かと不便だろ。君に渡した携帯に差し込める様になっている」
コイツはコイツなりに私に配慮はしているらしい。
実を言えば散歩するにもどうしたら良いか分からなかったからな。
これはこれで助かる。
エリックからSDカードを受け取り、早速携帯に差し込んだ。
そして、画面に現れたのは――。
「げ……」
携帯の画面を見つめながらそんな声を上げる。
あげたくもなる、こんな画像が急に表示されたら。
/続く