「あ、紹介するわねライト。コイツは坂口弥、んでその隣に居るのが――」
「護、だろ?」
愛花が紹介する前にもう一人の男子生徒の名前を呼んだ。
「え?あ、うん」
愛花は戸惑いながら頷く。
私は席を立ち、ツンツン頭の男子生徒を睨みつけた。
「えーと……、初めまして~」
無理に笑顔を作りながらそう挨拶する男子生徒。
何故だろう、コイツを見ていると……。
無性にムカムカする。
「あ……握手する?」
男子生徒はそう言いながら右手を差し出してくる。
「遠慮する」
私は即答した。
馴れ合うつもりなんてこっちは一ミリもない。
私はそのまま男子生徒を横切ろうとした、その時だ。
「おい、待てよ」
男子生徒が急に私の左腕を掴んできた。
私は振り返り、再度彼を睨みつける。
「……何か用か」
ムカムカした声で私は男子生徒にそう言った。
彼もコチラに顔を向ける。
その表情はさっきと一変し、何かを心配するかの様な顔をしていた。
そして――。
「お前、何でそんなに必死になって強がってるんだ……?」
と、そんな言葉を口にした。
「え……」
私は反射的にそんな声を上げていた。
そしてすぐに掴んでいる手を振り払う。
「……何様だ……お前……」
低く震えた声で私は呟く。
ここが公共の場でないなら私はこの男を殺しているだろう。
それくらい、今この男が言った言葉は癇に障った。
「いや、ただそう思っただけだよ」
そう言い残すとツンツン頭の男子生徒はカウンターへと向かって行った。
――体が震える。
「ご、ごめんライト!アイツには私がちゃんと言っておくから!」
両手を合わせながら頭を下げる愛花。
そしてその隣にはさっきの男子生徒を見つめるメガネ男。
――息が、苦しい。
私は何の反応もせずにその場を立ち去った。
「あ、ライト……」
後ろから愛花の声が聞こえたが私は無視してそのままエレベーターへ向かう。
そして六階に上がると、流れるように自室に戻った。
鍵を掛け、そのままドアに寄りかかりながら座り込む。
「ハァ……ハァ……・」
〝何でそんなに必死になって強がってるんだ……?〟
頭のなかであの男の言葉が蘇る。
私は思いっきり壁に右腕を叩きつけた。
「クソ……!」
フラフラと立ち上がり、私はベッドへ向かう。
そしてそのままうつ伏せに倒れ込む。
気が付けば私は両目から涙を流していた。
枕を抱き寄せ、顔を埋める。
「……ライアン」
弟の名前を呼びながら、私はそのまま眠りについた。
/続く