第一章 復讐者 35 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「あ、紹介するわねライト。コイツは坂口弥、んでその隣に居るのが――」

「護、だろ?」

愛花が紹介する前にもう一人の男子生徒の名前を呼んだ。

「え?あ、うん」

愛花は戸惑いながら頷く。

私は席を立ち、ツンツン頭の男子生徒を睨みつけた。

「えーと……、初めまして~」

無理に笑顔を作りながらそう挨拶する男子生徒。

何故だろう、コイツを見ていると……。

無性にムカムカする。

「あ……握手する?」

男子生徒はそう言いながら右手を差し出してくる。

「遠慮する」

私は即答した。

馴れ合うつもりなんてこっちは一ミリもない。

私はそのまま男子生徒を横切ろうとした、その時だ。

「おい、待てよ」

男子生徒が急に私の左腕を掴んできた。

私は振り返り、再度彼を睨みつける。

「……何か用か」

ムカムカした声で私は男子生徒にそう言った。

彼もコチラに顔を向ける。

その表情はさっきと一変し、何かを心配するかの様な顔をしていた。

そして――。

「お前、何でそんなに必死になって強がってるんだ……?」

と、そんな言葉を口にした。

「え……」

私は反射的にそんな声を上げていた。

そしてすぐに掴んでいる手を振り払う。

「……何様だ……お前……」

低く震えた声で私は呟く。

ここが公共の場でないなら私はこの男を殺しているだろう。

それくらい、今この男が言った言葉は癇に障った。


「いや、ただそう思っただけだよ」

そう言い残すとツンツン頭の男子生徒はカウンターへと向かって行った。

――体が震える。

「ご、ごめんライト!アイツには私がちゃんと言っておくから!」

両手を合わせながら頭を下げる愛花。

そしてその隣にはさっきの男子生徒を見つめるメガネ男。

――息が、苦しい。

私は何の反応もせずにその場を立ち去った。

「あ、ライト……」

後ろから愛花の声が聞こえたが私は無視してそのままエレベーターへ向かう。

そして六階に上がると、流れるように自室に戻った。

鍵を掛け、そのままドアに寄りかかりながら座り込む。

「ハァ……ハァ……・」

〝何でそんなに必死になって強がってるんだ……?〟

頭のなかであの男の言葉が蘇る。

私は思いっきり壁に右腕を叩きつけた。

「クソ……!」

フラフラと立ち上がり、私はベッドへ向かう。

そしてそのままうつ伏せに倒れ込む。

気が付けば私は両目から涙を流していた。

枕を抱き寄せ、顔を埋める。

「……ライアン」

弟の名前を呼びながら、私はそのまま眠りについた。


/続く


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