第一章 復讐者 14 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「で、名前は?」

まったくしつこい婆さんだな。

「ライトだ、ライト・クライス。これで満足か婆さん」

嫌々自分の名前を告げる。

すると婆さんはメモ帳を取り出した。

「どうやら本人のようだね。私はてっきり礼儀正しい子かと思ったが」

どこまでも嫌味を言う婆さんだな。

いい加減嫌になってくる。

私はそのままエントランスの奥へと向かおうとした。

すると婆さんが「待ちな」と声をかけてきた。

「アンタ、一体どの部屋に入るつもりだい?」


その言葉を聞いて私は顔を赤くした。


クソ……肝心な事を忘れてた。

私はゆっくりと婆さんの方へ振り返る。

「ば、番号を教えてくれ」

「602号室だよ」

私は無言のまま、602号室へ向かう。

と、また婆さんが「待ちな」と声をかけてきた。

「鍵はいらないのかい?」

「このババァ……!」

私は婆さんの方へ再度振り返る。

すると婆さんは602号室の鍵を催眠術師のようにユラユラと揺らしていた。

「その鍵をよこせ!」

私は強引に婆さんから鍵を奪い取ろうと腕を伸ばす。

しかし婆さんはそんな私の腕を軽々とかわした。

「よこせとはなんだい。くださいだろ小娘が」

ニヤけながらそんな事をほざく婆さん。

どこまでも苛つかせる奴だ。

「く、ください!」

仕方がないので丁寧な言葉でお願いする。

しかし婆さんは首を左右に振った。

「ダメだね、心がこもってないよ。ちゃんと心からお願いしないとね」

このババァ……!

しかし、鍵がなければ部屋には入れない。

いや、ドアをぶち破って入ることは出来るが。

だがそんな事をしたら後々面倒な事になりかねない。


/続く



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