「あのクソ野郎……」
エリック大佐殿が丁寧に用意してくださった家に到着して最初に出た言葉はそれだった。
正確には家ではない。
ここは紛れも無く学生寮だ。
入口の近くに「魔術騎士団員教育学院・学生寮」と書かれた看板がある。
アイツらが経営しているだけあって、寮自体は高級なものだ。
車の中からパッと見た時は高級マンションかと思ったほどだ。
私は辺りを見ながらエントランスに入る。
外だけでなく中もかなり豪華なものだ。
「ん?アンタがエリックが寄こした娘かい?」
するとエントランスの受付の方から声が聞こえた。
顔を向けるとそこには七十代前後の婆さんが杖を付きながら立っていた。
「何だ婆さん」
「口の悪い娘だね、これからアンタを泊めてやるってのに、何だいその態度は」
婆さんはケチケチとそう言った。
「悪いな、目上の奴に対する礼儀なんて持ち合わせてないんでね」
生意気な娘だねぇ、と婆さんは私を睨みつける。
しかし受付になんでこんなヨボヨボの婆さんが居るんだ?
まさかこの婆さんが受付を担当しているのだろうか。
そうなると魔術騎士団は相当人使いが荒いって事になるが。
「それで、アンタ名前は何て言うんだい?まぁ、アンタみたいな生意気な娘は名前で呼ぶ必要なんざないんだがね」
「必要無いなら聞かなくても良いだろ」
「そうはいかないさ、エリックが寄こした娘本人か確かめないといけないしね」
「さっきの会話で本人だってわかるだろ普通……」
年寄りと話すのは疲れるな。
「もしアンタがエリックの寄こした娘なら、一言あの若僧を怒鳴り散らさんとね」
こんな婆さんに怒鳴られても、あの男なら鼻で笑って終わりそうだけどな。
/続く