いつの間にか新作を出してくれていた愛しのウィンズロウ。
あいかわらず短い章立てと歯切れのいい文体、ウィットに富んだセリフ。ウィンズロウ節全開です。
今作「サトリ」は1979年に発表された覆面作家トレヴェニアンによる暗殺者ニコライ・ヘルの小説「シブミ」の中であまり語られていなかった事象に現代作家のウィンズロウがスポットを当てた物語です。
今作の元になった「シブミ」と言う作品は全く知らず、予備知識ゼロで挑みました。
ウィンズロウにハズレなし。圧倒的なスピードで物語が進んでいきます。
物語の骨組みは単純。「シブミ」では50歳ぐらいのニコライ・ヘルが26歳のときの物語。
舞台は戦後1951年の東京。拘留中だった暗殺者ニコライ・ヘルがある大物の暗殺を条件に釈放されます。
そしてその大物をしとめるため、必要な教養やら知識やらをつけて下準備をし、いざ標的のいる上海へ。
無事成功させますが、そこから怒涛の展開。骨組みは単純ですが、そこにマフィア、CIA、地元の勢力やらの私利思念が交わって、物語を複雑かつ圧倒的に面白く仕上げます。
ヘルはイケメンで日本武術を操り無敵のような強さです。そして思考や作戦は日本の碁に基づいて行う、日本の心を持った西洋人です。
脇を固めるキャラも素晴らしい。得に気に入ったのがニコライの教育係りで絶世の美女ソランジェ、マフィアの大ボス渋さと男気ありのル・ヴァン・ビエン、よくわからん例え連発のおしゃべりド・ランド。
ネタバレしたくないのであまり言えませんがカジノでのギャンブルシーンがめちゃくちゃテンション上がります。
思わずニヤリとしてしまう演出です。
さすがウィンズロウ、1つの作品に日本の心、殺陣、ギャンブルなどなど読者を飽きさせない要素を十二分に盛り込んでくれてます。
この作品で元の「シブミ」のほうが気になり、現在読書中です。
「サトリ」との違和感は無く、整合性もとれてます。禅問答のような「渋み」という日本の心を持つに至る経緯や、暗殺者になるまでの過程がより緻密に描かれていて面白いです。
しかし今から30年も前の作品で、舞台はそれよりまた30年ぐらい遡るのに、全然古さを感じません。
むしろスーパーコンピューターみたいなものでクラウド化がされてるみたいなんですが。
長くなりましたが、とにかく超超オススメの作品です。
もしかしたらまた書いてくれるかもしれないんでかなり期待してます。
- サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)/ドン・ウィンズロウ
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
- サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)/ドン・ウィンズロウ
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
- シブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)/トレヴェニアン
- ¥882
- Amazon.co.jp
- シブミ〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)/トレヴェニアン
- ¥882
- Amazon.co.jp