前に紹介したドン・ウィンズロウの「サトリ」の元になった作品。
1980年代のスパイ小説。僕の生まれ年の作品ですね。親近感沸きます。
作者トレヴィニアンは日本人ではないけれど日本人以上に日本の心についての描写がすごい。
ていうか現代日本人はここまで日本の趣を知らないだろうと思います。
物事を碁で捉える視点、タイトル「シブミ」に表れる渋みという古きよき日本の心。
全編においてかなり下調べしただろう知識の表れや日本愛が感じられます。
なんか文学作品を読んでる感じ。読みやすさはないけれど惹かれるものがある。
西洋人の容姿でありながらせっせと日本庭園を整える主人公ニコライ。
今作ではすっかり歳をとり50歳ぐらい。しかし容姿は飛天御剣流の継承者かのような35歳くらいらしい。
簡単に言うと助けを求めてくる女性の為に、裏で全てを操る巨大企業と対決するという構図。
しかし今作はその対決だけではありません。
ニコライがいかにして世界最高の暗殺者となったか、日本のシブミという精神を得られるようになったか
またケイヴィングと呼ばれる洞窟探検の話などはほぼ独立した物語と言ってもいいかもしれないという出来。
というか物語の大筋の話って最初と最後だけのような気がする。けっこうあっさり終わります。
戦い方は独特で、敵を自宅での食事に招いたり、暗殺の為にスキャンダルを盾に国の機関に目をつぶれと言ったり、基本的に思考は碁の配置。
このへんは読んでのお楽しみでしょう。
スピード感やスカっとするアクションを求めるならウィンズロウのニコライ・ヘル
日本情緒、渋みという日本のこころにより深く触れたいならこの熟年したニコライ・ヘル
読んで損はない作品です。
しかし現代作家の最近の主人公はシニアが多い気が。
コナリーのハリー・ボッシュ、ウィンズロウのフランキー・マシーン、ハンターのボブ・リー・スワガーなどは全員60歳超え。
ディーヴァーのリンカーン・ライムもなかなかいい歳だし、渋くてかっこいい男ってのが流行なんですかね。
それとも自分の読書が偏ってるだけか。
若者の読書離れのためにターゲットをシニア層に合わせてるんならちょっと寂しい。
読了後はなんかお寺に行きたくなる気分にさせてくれました。
- 後、表紙の桜がすごくきれいです。本屋で見かけたらぜひ。
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