久しぶりに映画を観に行って、ラストにすごい衝撃を受けた。
まさしく、相棒ここにありという作品になっていると思います。
映画「相棒-劇場版Ⅱ-」
この作品のすごいところは、テレビシリーズが放映真っ只中でしかも、封切直前のSPで振りをしていることです。
そして、そうであるにも関わらずTVシリーズに思いっきり影響の出る展開が満載なことです。
TVシリーズの中に劇場版を入れると、全く関係ないことが多いはずがそうじゃない。
説明を入れると劇場に行ってない人の楽しみを奪うし、説明入れないと置いて行く。
「踊る大捜査線」とかもすごかったけど、そこでもできなかったことをやった凄まじい作品だと思います。
さて、TVシリーズとの兼ね合いもそうですが、相棒らしさは他にもあります。
大々的に宣伝出てくる「警視庁篭城事件」、通常の作品はこの人質の救出が全てとなってしまいがちです。
でも、相棒はTVシリーズから続く事件の裏の裏にある何かがクローズアップされていきます。
裏の裏が、表だと言われるコメディもあるけれど、相棒ではまさしく実は表さらされていることこそ真相だったりします。
そして、はじめに突っ込んだ裏には警察組織という特殊性が、影を見せます。
各登場人物の人間性、組織としての形、これらが絡み合うところが相棒なのだと思います。
水谷豊演じる「杉下右京」という人物は、変人として描かれています。
しかし、職務にただただ忠実と言う意味では、とても当たり前のことをしているのかもしれません。
ただ、それが警察官と言う職を選んだため、真実をつまびらかにすることに傾倒しすぎて、組織に逆行することもあるだけで。
ある意味羨ましい、これで切れ者だから始末に終えないわけです。
でも、トラブルを上手く受け流してくれる、認めている人々が彼の存在を可能にしています。
この作品では、TVシリーズを含め新しい風となったのが及川光博演じる「神戸尊」です。
前の「亀山薫」が右京に従い、愚直に身体を張ることで自らの正義を見出す人でした。
「神戸尊」は右京に近いところで、意見を言い時に逆らってでも自らの正義を達成します。
推理において「亀山薫」はひらめきのきっかけを与えるだけの実働部隊だったのに比べて、「神戸尊」は推理を組み立てる上ための議論の相手となりうるのです。
また「亀山薫」が感覚的な部分を強く押し出すのに対して、「神戸尊」は論理的な部分が前面に出ます。
他にも対照的な二人なのですが、この違いが似た事件でも違うアプローチの仕方を生みます。
この二人が入れ替わると、事件はまた違った様相を見せるのではないかと思います。
メインの二人以外にも、個性的なそしてなくてはならないキャラクターが揃っています。
これらのキャラクターも立場が入れ替われば、作品の様相が違ってくるのだろうと思えます。
それだけ、ただのポジションではなく、各登場人物の人間性がしっかり描かれ、利用されています。
そして、それを演じる役者さんももったいないくらい素晴らしい方が揃っています。
特に、宇津井健はいつもと違ったキャラクターをいつもの雰囲気を保ったまま演じています。
いつも少し厳しい好々爺なのに、今回は警察庁長官というポジションで裏で色んな暗躍をする役どころです。
ただそれをよくある悪代官よろしくの悪そうな雰囲気があるのではなく、ただ当然のごとくそうある人として描かれています。
警察組織をより良くするために、自らの立場を確立せねばならない。
そのための工作を悪巧みとして行う人が居るわけがないので、そこがある意味リアルなのかなと感じさせられます。
様々な人の様々な行動が複雑に絡み合いちゃんと調和し、真実に繋がっていく。
細部の演出や演技にも意味があることが、とても良く分かるストーリーになっています。
そして、人間の本質ともいえる、「あなたの正義を問う」というキャッチコピーに見合った作品になっています。