旅路
前に未知がひろがり、後ろに故郷があれば、そこに立つ人は旅路にある。
 
冬に対して、終焉という受け止め方と、眠りという受け止め方がある。
同じことに対しても、幸福という受け止め方もあれば、不幸という受け止め方もあるように。
 
馴染む
衣類でも靴でも、やがて自分に馴染むものだ。
しかし道具は、自分が変わることによってのみ自分に馴染む。
道具自体は変わらないからだ。
 
湧水のある森
湧出する水の中から、あらたな精霊たちが姿を現わしている。
概念が形を見せる過程と構造も、そのようなものなのかも知れない。
 
記念写真
笑顔は笑顔のままにそこに残る。レコード盤に刻まれた音楽同様に。
時々そのことが不思議になる。
 
夕暮れ時
稜線上に残る朱は、やがて闇の中に沈んでゆく。
鳥たちが交わす、最後の挨拶の鳴き声。
再会の約束もまた、闇の中に眠りについてゆく。
 
行為
なにかをやっていて、「なんのためにやっているのか」と考えたとき、そこにいるのは、なにかをやっている自分ではない。
なんのためにやっているのかと考えている自分だ。
 

日差し

窓から差し込む、部屋いっぱいの光。

部屋の中に閉じ込められている、明るい暖かさ。

日が陰れば、それは壁の外の寒い側へと立ち去ってしまうのだが。
 
建設
戻りたい場所が荒野になっていたら、そこが次の世代にとって戻りたい場所になるように、ふたたび建設は始まるだろう。
建設は過去に向けたものではなく、未来に向けたものだからだ。
 
空に描き上げられる、雲の白。
地表を覆い隠す、雪の白。
止まることなく、崩れ落ちながら輝く、波の白。
そして、冷えた大気の中、吐く息の白は鼓動とともに。
 
 
 
 

 

LPレコードで ”ケ・サラ” 4種の演奏で聴き比べ

 - "Che sarà / Qui Saura" - 4 Types of playing - VINYL