人の想いを越え、波はくり返し寄せて来る - 仙台市 青葉城址周辺、松島

 

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TOKINA SD 28-70mm 1:3.5-4.5 (SZ-X270) (TOKINA)

 

 

仙台に用事があった。用事が済んでから伊達政宗で知られる青葉城址周辺をめぐり、さらに松島まで足を延ばした。

松島には伊達政宗の菩提寺である、平安時代創建の瑞巌寺がある。

 

瑞巌寺は動乱の時代の波をかぶり、さらに仏教宗派の葛藤まで絡んだから、かなり複雑な歴史を刻むことになった。有力な存在だったからこそ、翻弄する波も大きかったのだろう。

 

戦国時代にはすっかり荒廃してしまい、それを復興したのが伊達政宗だった。しかし明治政府の廃仏毀釈により、ふたたび荒廃してしまった。

そこからやっと再興して現在の瑞巌寺があるのだが、東日本大震災のときには津波が門前にまで到達した。いまになっても荒廃の危機にさらされるのかと思ってしまう。


参道に沿うように”瑞巌寺洞窟群”がある。この世に生きた人々の戒名が、ここに無数に刻まれている。

観光ガイドではあまり扱われていないように思うのだが、洞窟群が供養のためのものだからなのだろうか。

 

信仰というものが建築物ではなく、断崖の洞窟という形で残されている光景が独特だ。「築き上げる」という形ではなく、「削り落とす」という形で残されているからだ。

眼前には海という巨大な異界がうねっている。人は一体、なにを突き付けられているのだろうかと思うのだ。