川の流れに沿う野草群は、不思議な生き物であるかのように - 城里町 御前山、那珂川河川敷き

 

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城里町の御前山、那珂川の河川敷きをめぐった。

道の駅から河川敷きに出ると、観光用に整備されていない荒漠とした風景が広がる。

川に沿って群生する竹林、枯れた野草群、そして河川管理用の未舗装の道があるだけだ。

 

風が強い日の竹林は独特の音を響かせる。「カーン、コーン」という硬質な音は、幹と幹がぶつかり合う音だろう。

中が空洞なので、なにかの楽器であるかのように響くのだ。

 

まれに猫のような「にゃー」という音が聞こえることがある。幹がしなって軋む音なのか、幹同士がこすれる音だろう。

さらにきわめてまれに、まったく謎の音が聞こえることもあるのだが、少し考えてわからないときはそれ以上考えない。

 

台風でも来れば冠水してしまう河川敷きだ。その痕跡がまだ残っている。

凄まじい水流を受けてなぎ倒された野草群は、いまは不思議な生き物であるかのような、独特の混沌とした姿を見せている。

この時期の河川敷きに人影はまったくなく、異界はいたるところに広がっている。