森影の黒に囲まれた城址は、冬の風吹く光の中に - 東海村 石神城址

 

使用レンズのご紹介リンク

 


東海村の石神城址を歩いた。実はここは、先にご紹介した那珂市の額田城址と同じ日に歩いた。

それぞれ東海村と那珂市にあるにしても、直線距離なら約5km程度だ。

 

この二つの城址は、土塁に囲まれている点以外は、特徴がかなり異なっている。

額田城址が森におおわれ、森の中を縫うように歩道があるのに対し、石神城址は中心部に木々はなく、広い緑地になっている。

森におおわれているのではなく、周囲を森に囲まれているのが石神城址なのだ。

 

城主はいずれも佐竹氏家臣の小野崎氏だったが、額田小野崎氏と石神小野崎氏は同族であるにもかかわらず不仲で、しばしば争っていた。

争いといっても議論などではなく、兵を出しての斬り合いだったから血なまぐさい。

 

土塁付近の半日陰になっている場所に風が吹き始めると、おもむろに茶色の乾いたものを取り出して、風にかざす。

百合が群生する額田城址から、数個パクって来た百合の”花がら”だ。

 

種子が風に舞い上がってどこかに飛んでゆく。そうそううまく発芽するとも思えないが。

石神小野崎氏からは「あんな奴の所の花なんぞ、うざいわ」とか言われそうだが、「文句は、勝手に飛んで行った種子に言ってね」と答えるしかないだろう。