影の黒の中、白い花の種子は強い風を待ちながら眠っている - 那珂市 額田城址、阿弥陀寺

 

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那珂市の額田城址を歩いた。城址といっても石垣が残るわけではない。残された土塁が森の中に延々と連なっているのだ。

額田城址は夏には無数の百合の白い花が咲く、ちょっと不思議な場所だ。いまはあちこちに、種子を蓄えた茶色の”花がら”が無数に残っている。

 

風が吹けば種子は花がらの中から飛び出し、風任せにどこかに飛んでゆく。

もちろん、風が弱ければ種子は飛び出せない。”花がら”が大きく揺れるほどの風が吹かなければ、つまり、種子が遠くまで飛んで行ける状況でなければ、種子は飛び出すことができないのだ。

 

年々、城址の全域に百合の花は増えつつあるようだ。よほどこの地と相性が良いのだろう。

血なまぐさい歴史を持つ城址の土塁に囲まれた中、百合の白い花はいまも増え続けているのだ。