巨石群を包括する聖域の、饒舌な混沌 - 日立市 竪破山、黒前神社
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久しぶりに竪破(たつわれ)山にある、黒前(くろさき)神社に行った。今年の3月以来だから、7か月ぶりだ。
「茨城」という県名は、この神社の祭神、黒坂命が茨の城壁を築いて国の境界としたという伝説による。
来ている人はなく、風もなかった。しかし山は果てもなく饒舌だ。
右大臣、左大臣を置く山門の中から「シャカー!シャカー!」という音がいきなり響いてきた。
???、たった今、そこにいたのだ。もう一度入ってみると、天井付近をコウモリが飛んでいた。
その謎の音は、翼の音に加え、どこかにつかまろうとする爪が、壁に接触する音のようだった。
やがてコウモリが天井につかまると、謎の音が消えた。
コウモリとしては起こされてしまったことに、かなり不機嫌なようだ。
「おい、そこのナウなヤング、まだ昼間だぞ? せっかく寝ていたのに起こしおって、とっとと失せろ、ゲス」
「うるせえ」
せせらぎの音によく似た音が響いてくる。どこか遠くから木槌を打つような音がコーン、コーンと、間を置きながら響いてくる。
圧倒的な領域なのだ。
杉木立の中に「最後の修験僧の墓」と呼ばれる墓標がある。
彼もまた、さまざまな音を聞いていたのだろう。
だが、墓標に刻まれている文字が判読できない。下二文字が「一心」なのはわかるのだが、その上の文字が判読できない。
一帯に響く音の中に、混沌と規律は矛盾なく存在しているのだろう、そんな中を三時間余り、めぐったのだ。
なお、最後の6枚は帰路に立ち寄った日立市、中里でのものだ。