川に沿った道に響いているもの - 常陸太田市 町屋変電所跡、春友彫刻の森、智教院、薩都神社
天気は晴れたり曇ったりが目まぐるしく移り変わってゆく。風も暖かくなってきたということで、川に沿った道を歩こうかと思った。常陸太田市、町屋から春友にかけての、里川沿いの道だ。
川に沿った近隣には薩都(さと)神社がある。里川の「里」は「薩都」から来ているのだろうか。
「薩都(さと)」にはさらにオリジナルの語源があり、それはきわめて血なまぐさいものなのだが。
パワースポットとして有名になった御岩神社が、このエリアから近い。そもそも御岩神社は薩都神社と深い関連を持っているのだ。
薩都神社の祭神である立速日男命は、村人たちが聖域を汚すのに怒り、疫病を蔓延させた。
人の領域はどうしても聖域を汚してしまうものだろう。しかしそんなことへの斟酌もなく、疫病はやまなかった。
村人たちは畏れて立速日男命を清浄な地とされる御岩山に遷座したのだ。
御岩山には縄文時代の祭祀跡があり、神社として形成される以前から聖域とされていた。多くの神々を祀る素地は最初からあったと言える。
立速日男命の遷座から、御岩山は神社としての様式を整えていった。そうして大日如来や阿弥陀如来をも、祭神として神々の列に加えてゆくのだ。
立速日男命は水神、雷神であるとの説もある。立速日男命を立速火男命と考えたのだろうか、「立速火」なら稲妻そのものだ。「断速火」なら、破壊神ですらあるだろう。
水神と雷神の属性を持つなら、立速日男命は荒ぶる龍神なのだろうと思う。
その名は古事記にも日本書紀にも出て来ない。破壊神の側面を持つ龍神では、時の権力にプラスになるものはないと判断されたのだろうか。
「さと」という名を持つ川に沿った道をめぐれば、古代からこの地にひびいている音が、少しは聞こえてくるのかもしれない。
白波は龍神の子たちが遊んでいる姿にも見えてしまう。そうして、里川の対岸には東金砂神社がある山々がひろがっているのだ。
なおこの記事は先にアップロードした記事と同じ日に撮影したものだ。たくさん撮りすぎたので、写真がだぶらないようにして、記事を二つに分けた。