古代人が生きた場所に咲く、朱に染る花々 - 日立市 法鷲院、川尻海岸
9月のランドマークのひとつと思っているヒガンバナが、いよいよ咲き始めた。今年は例年より少し早いのだろうか。
そこで、ヒガンバナが多い法鷲院に行くことにした。
創建が西暦807年の法鷲院の周辺には縄文時代の遺構も残るとされているから、ここもまた古代からの聖域だったのだろう。
帰路、法鷲院からは近隣にある川尻海岸にも立ち寄った。地元の、中学生ぐらいの子どもたちが、まだ海水浴を楽しんでいた。
兄弟と思しき二人が、断崖に近いところにある浅瀬で遊んでいた。中学生と小学生ぐらいだろうか。
お兄ちゃんが笑いながら弟に両手で海水をかけ、弟は笑顔でわあわあ騒ぎながら逃げ回っていた。
連なる断崖は、海の浸食が深々と彫り込んだ古代神話の、しかめ面の彫像群のようだ。そうしてそんな彫像群は、子どもたちの笑顔を見守り、子どもたちの歓声に耳を傾けているかのようだ。
そんな光景は、古代からくり返されてきたのだろう。
記事末尾の画像閲覧用BGMには、アルベルト・シュヴァイツァー博士が演奏したバッハを選んだ。
胸に手を当て、目を閉じたまま頭を垂れているような、あまりにも厳粛な、しかしどこか懐かしい演奏が独特だ。