冬至が近い日、周辺に残された色彩 - 日立市、海が見える高台にて

 
 
使用レンズのご紹介リンク
 
 
もう、冬至も近い。木々の葉は落ち始め、豊かさは幾何学的な模様に置き換えられてゆく。いまはそんな変化の境界付近にある。
で、それならと、カメラを持って山々の中腹付近にあるエリアをめぐった。とくに観光地でもない普通の?場所だ。
 
やや特殊な面もある。
その付近にはかつて地元企業の、比較的規模の大きい住宅群や社員寮などが、斜面に沿うように建ち並んでいた。
それらは老朽化が進み、震災によるダメージもあったため、すでに7年ほど前に撤去された。いまは広い空き地や道路跡が、独特の地形となって残っている。
かつて多くの人々が暮らしていた気配だけが残る光景が、なんとも不思議なのだ。
 
 
恐るべきことに、夜にはイノシシが出没することもある。冬になると山に食料が無くなるためか、家族連れで賑々しくやってくるのだ。
そうして球根など地中の食物を探して、パワフルに土を掘り返したりする。
元気があるのはいいが、春先など、「きゃつらが竹林のタケノコを掘り返すので、すっかり採れなくなった」という愚痴も聞こえてくる。
 
まあ、竹林にしてみれば人間に掘り返されるか、イノシシに掘り返されるのかの違いしかないから、どちらでも同じようなものなのだろう。
いや、タケノコが好物の者としては、ゆゆしき事態と言えるのだが。
 
たまに、昼になったというのに柵に邪魔されて帰れなくなり、取り残されたイノシシがいることがある。
少し遠回りをすれば柵のないところから帰れるのに、真っすぐに進むことしか考えないから、文字通りにドツボに嵌まっているのだ。
よく考えろと言いたいところだが、イノシシ語などわからない。
 
そんなとき、イノシシは空き地の奥の方の木陰に半分ぐらい隠れたまま、すっかり固まってしまっているのだが、喜ばしいことに翌朝にはさすがにいなくなっている。
もちろん、「よく考えた結果、帰れた」というわけでもないだろう。
夜になって、昼のことをすっかり忘れて食物探しを始めた結果、たまたま柵のないところに至り、帰れただけの話なのだろうが、まあ、なんとかなるものだ。
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

Brahms - Hungarian Dance No. 1 - Part 1/9