ペトリのレンズをマウントアダプター経由で、デジカメで使いたいという記事を、ときおり見かける。

過去に「ペトリ・スピゴットマウント - Eマウント」変換アダプターを、マウントや中間リングを接着するやり方で自作していた。
「こんなやり方もある」というヒントにでもなればと、その手順をご紹介させていただきたい。

こうやって書いてみると、自作するのは大変そうに見えるが、やってみるとそれほどでもない。
要は中間リングを挟んで、ペトリマウントとEマウントを接着するだけだ。



なお、このアダプターを使ってペトリのレンズで撮影した写真記事は、次の記事の最後の方にリスト化してある。

 

 

 

 


1.ペトリマウント本体以外に必要なもの

マウントアダプター製作には、まず、ペトリのボディ側マウント本体が必要だ。
ジャンクとなったボディからのマウント取り外しは簡単だ。
さらにそれ以外に、下記のものが必要になる。


 

イメージ 1


写真上段 左から右に。
(1)アマゾンで入手できる、超薄型のEマウント(リンク)
 内側にはM42のネジが切ってある。非常に応用がきくパーツだ。
(2)アマゾンで入手できる、ニコン用の中間リング(リンク)
 直径が合うし、ニコンマウントの爪内径がペトリレンズに干渉しないため。
(3)ホームセンターの工作コーナーで見つけた真鍮粉。
 これは接着剤のフィラー用に。かならずしも必須ではない。
※上のリンク先がいつまであるかは不明です。

写真下段 左から右に。
(4)アクリルガッシュ 「ジェットブラック」。
 アクリル系水彩絵の具。
内面反射防止用として、超漆黒の優れもの。

 大手のホームセンターや画材店で入手可能。
 水彩といっても密着力は抜群で、一度乾けば水で洗っても落ちない。
 メーカーは「ターナー」や「ぺんてる」など。
(5)ビニールテープ。マスキング用。何色でもよい。
(6)エポキシ接着剤。



2.貼り合わせるパーツの組合せ

このマウントアダプターは、エポキシ接着剤によって、マウントと中間リングを接着して製作する。接着する組合せは次の通り。

(1)左側:超薄型Eマウント+中間リングNO.1。
(2)右側:中間リングのメス側マウント部(ロックピンは外しておく)
  +ジャンクのペトリボディから外したマウント。


 

イメージ 2



3.接着前の段取り手順

いきなり接着するのではなく、下記のような手順で仮組みしておいたほうが、作業が楽になる。
エポキシ接着剤は一度硬化したら剥がすことができない。


(1)カメラに取り付けた時に、レンズの指標が真上に来るよう、事前に確認して、貼り合わせ位置を決めておく。
(2)それぞれを重ねて、ビニールテープを「強く、引っ張りながら」巻きつける。
(3)強く巻くだけでほぼセンターは出るが、修正が必要ならこの段階で。
  指で微調整しながら、外周を合わせる。
(4)接着剤が漏れて困る場所は、ビニールテープでマスキングする。
  たとえば、レンズの位置決ピン穴など。


フランジバックは、ややオーバー・インフィニティながら、この組合せで無加工のまま出るはず。しかしいちおう、Eマウントボディに取り付け、無限を確認しておいたほうが安心。


 

イメージ 3



4.接着手順

いよいよ接着だ。

(1)フィラーは入れなくても良いが、入れないと接着剤が流れやすくなる。
  もちろん、フィラーの混ぜ込み量が多いほど、流れにくくなる。

(2)内周側のみ、接触箇所にエポキシ接着剤を「たっぷり」と塗りこむ。

接着剤が奇妙な色をしているのは、フィラーとして真鍮粉を混ぜ込んだため。
次項で、仕上げに黒色塗料を塗るので、この段階での「見た目」は無問題だ。


 

イメージ 4



5.仕上げ手順

エポキシ接着剤の仕様によるが、1日も放置すれば確実に硬化するだろう。
硬化後、下記の手順で仕上げる。


(1)内側全面に、アクリルガッシュ「ジェットブラック」をたっぷり塗りこむ。
 水で溶かさず、そのまま塗りこんだ方が良い。
(2)2分割されていたそれぞれをねじ込んで一体にする。

これで完成。(^^)/
ペトリのスピゴットマウント・レンズが、ソニーのEマウントボディで使用可能になる。


 

イメージ 5


 

イメージ 8



6.応用編

中間リングを2種、ねじ込んで合体させた分割式のアダプターだから、下記のようなことができる。

(1)無限位置を正確に合わせたい場合。
 分割式をやめ、ネジ部で調整して合った位置で接着する。
 ただしレンズの指標位置がずれる。
(2)多少のオーバー・インフィニティは気にしない場合。
 分割式のまま使うなら、このアダプターで接写が可能になる。
 あまった中間リング(NO.2か3、あるいは両方)を、間にねじ込めば、標準レンズがマクロレンズ化する。

下の写真では両方ねじ込んでいる。
朱線左がEマウント。中間リングをはさんで右端がペトリマウントだ。
朱線は好みで入れた。もちろん性能には関係ない。

 

イメージ 6

 


7.完結確認(?)

次の作例写真は、横に積んだCDの背表紙を、前項「6.」にある、マクロレンズ化した標準レンズで撮影した。
ほとんど1:1に近い?ところまで寄れる。

 

イメージ 7



8.結言 (^^)

作例のCDに入っていた、ジュディ・コリンズの「青春の光と影」。ペトリカメラが元気?だった頃のヒット曲だ。
ここまで読んでくれた人にだけプレゼント。(^^;

 

 

Both Sides Now (onscreen lyrics) [Je N'ai Rien Appris] by Judy Collins

WhiteLibraTexas & JFB

 

 

 

■■■

 

なお、中判レンズ用のEマウントアダプターも、市場で見かけないものを種々自作した。