ブロニカはガスライターやシガレットケースなどを作っていた会社だったが、1959年にカメラの製造販売を始めた。
創業者の名前、吉野善三郎→ゼンザブロウ→ゼンザブロニカは社員の発案らしい。社内の雰囲気が伝わってくるようで、期待値が高まるではないか。
ゼンザブロニカが巨額の投資をして開発したカメラは、時代の流れに乗った35mm判ではなく中判カメラだった。扱う製品がガスライター、シガレットケース、中判カメラとは、なかなかダンディだ。
レンズは日本光学(ニコン)などのスーパーブランドから供給を受け、「ゼンザブロニカ」は中判カメラの世界で一気に上位ブランドにのしあがったのだ。
だがブロニカETRレンズは市場に多く出回っているにもかかわらず、対応するマウントアダプターが見つからなかった。
で、自作した。このマウントアダプターは4年ほど前に作ったものなのだが、写真記事中で作り方に触れている程度だったため、今回、切り出して独立した記事にすることにした。
【準備】
準備するものは次の通り。(リンク先がいつまで有効なのかは不明。しかし同等品は多種販売されている)。
(1)薄型のEマウント (リンク)。
(2)中国製中間リングの、厚さ8~9mm程度のリング部分(リンク)。
(3)ニコンの金属製レンズフード「HS-12」。
(4)ブロニカETR用、純正中間リング「E-14」。
【製作】
(1)~(4)が、カメラ側からの順番だ。これらをエポキシ接着剤で貼り合わせる。
次の写真では右から順に(1)(2)(3)(4)となる。(1)と(2)の間の朱色の塗装に、特に意味はない。なんだかカッコ良いと思った。
このマウントアダプターの大きな特徴は、金属製レンズフードを使っているということだ。
ステッカーが貼ってある箇所が(3) レンズフードHS-12だ。これが(4)中間リングE-14と、寸法的にうまく合うのだ。
これでややオーバーインフィニティながら、「ブロニカETR→Eマウント」アダプターが完成する。
なんだか、やたらとあっさりした解説になったが、貼り合わせ方や仕上げ方、内面反射防止に関する具体的な説明は次のリンク先に詳しい。
【完成】
マウントアダプター下部に、アルカスイス互換のシューを取り付けている。
中判レンズには重いものが多く、カメラ側で荷重を受けたくない。そのためシュー部分で全体の荷重を受けたいのだ。
三脚とは言わないまでも、少なくとも一脚使用を前提にしたい。
実使用時は次の写真のように、レンズフードを取り付けている。
レンズフードは快晴逆光時のハレーション対策だけでなく、雨天時の雨滴対策でも有効だ。曇天の時はまあ不要だが。
で、なんだかフォルム自体も、オラオラ感が出てなかなか気合が入っている。やはりレンズはこうありたいものだ。?
【補足】
ちなみにこのフードだが、リサイクルショップの「例の青箱」に\200とかで転がっていたプラ製フードだ。
この手のフードは、レンズ本体とのコネクト部が専用アダプター形状で、指定レンズ以外では使えない。
しかし中華製の安価なステップアップリングやステップダウンリングをゴム系接着剤などで貼り合わせれば、ねじ込み式の汎用品に化けてくれるのだ。
個人的には写真用レンズの性能において重要なことは、レンズの解像力や発色、コントラストであるより以上に、質感の描写力なのだと思っているのだが、中判レンズの質感描写には圧倒的なものがあると思うのだ。