マミヤの中判カメラRB(RZ)シリーズ用のレンズには、きわめて高評価のものが多い。
しかしレンズ側にヘリコイドがなく、ボディ側でピント調節をする必要があるため、35mmデジタルカメラ用のマウントアダプターはほとんど見かけない。
で、4年ほど前に自作した。これまで写真記事中に製作内容を書き出していたのだが、単独の記事として切り分けることにした。
しかし何しろ大昔?の話だ。この記事では細かい作成手順ではなく、全体の考え方をまとめる。
【準備】
マウントアダプター本体にヘリコイドを付加しなければならないから、下記品を準備する必要がある。
(1)市販のヘリコイド付きEマウントアダプター。今回、ヘリコイドは「Y/C→Eマウントアダプター」を使った。
※ ヘリコイド付きアダプターはM42用を多く見かけるが、各種マウント用も販売されている。
(2)マミヤ純正の、RB(RZ)用中間リングNO.1。
(3)Y/C用オス側マウント。これを(2)の中間リングと合体させる。タムロンのアダプトールなどが使える。
次の写真の左が(1)ヘリコイド付きEマウントアダプター、中央が(2)(3)を使って自作したRB(RZ)マウントアダプター。右がマミヤレンズだ。
この配置関係で組み上げる。
なお、RB用とRZ用は、やり方は同じでもそれぞれ専用のアダプターを作る必要がある。
【製作】
(2)+(3)の製作においては、貼り合わせる前にまず、ピント位置をファインダーで目視確認の上、無限が出る位置に合わせ込む。
確認後、「Y/C用オス側マウント」と「RB(RZ)用中間リングNO.1」をエポキシ接着剤で貼り合わせる。
※ 接着剤使用ということに、強度面で抵抗がある人もいるかも知れないが、エポキシ接着剤はきわめて強力だ。まず剥がれない。
仕上げとして、アダプター内部には「アクリルガッシュのジェットブラック」を塗り込んで反射防止処理を行う。
外観はカーショップやホームセンターで売っているクルマ用タッチアップペイント「ツヤ消しブラック」で仕上げると良いだろう。
次の写真が完成形だ。やたらと汚いが。
下部にアルカスイス互換のシューを取り付けている。
マミヤRB(RZ)レンズと中間リングは非常に重く、カメラ側で荷重を受けたくない。
下の写真の組み合わせで、カメラを含む総重量は2Kg程度になる。そのためシュー部分で全体の荷重を受けたいのだ。
三脚とは言わないまでも、少なくとも一脚使用を前提にしたい。
※ ヘリコイド付きアダプターにM42用を使わなかった理由は、着脱性に加えて「カメラ本体とシューの平行を確実に決めたかった」からだ。
シューに対してカメラ本体が、回転方向に傾いて取り付いていたのでは目も当てられないだろう。
※ オリンパスやニコンなどのヘリコイドアダプターはレンズのフランジバックが長いので、この組み合わせでは無限を出せない可能性がある(未検証)。
【完成】
↓ 最短撮影位置
↓ 無限遠撮影位置:カメラ位置が変わる。
実使用時は一脚を伸ばしたまま片手に握り、肩にレンズ部を乗せて歩いている。機動性はそれほど損なわれない。
それにしてもなかなか気合が入ったフォルムだ。「オニのような」という表現がよく似合う。
【蛇足】
一般的なレンズにおいて、ピント調節はレンズ前群と後群の位置関係をヘリコイドによって変動させる方式を採用している。
この方式には、被写体との距離によってエレメント間の相対的な位置関係が変わってしまうという問題がある。
つまり、すべての撮影距離において、同等にベストの画質となるわけではない。
マミヤRB(RZ)のように、レンズ自体がヘリコイドを持たないということは、エレメント間の相対的な位置関係が変動しないということでもある。
つまり、ボディ側にヘリコイドを持たせた「全群繰り出し式」は、各エレメントの位置関係を光学的にベストの状態で固定したままにできるのだ。
そんな意味でもRB(RZ)レンズは、ぜひとも使ってみたかった。
そうして予想通り、その描写力にはしばしば圧倒されてしまったりしているのだ。
いや、重たいのだが。