ある やま ふかく。
まんまる だんごむし に よく にた やま がありました。
その やま の なか に だんごむし の おやこ が すんでいました。
ちいさな おとこ の こ の なまえ を「だんちゃん」といいました。
だんちゃん の おとうさん は、 どんな てき をもにがさない。あしの はやい にんじゃ で
す。
おかあさん は どこでも たちまち ねむることができます。
でも、もっと とくいな ことは、こもりうた を うたうこと です。
おかあさん が うたえば、だれでも すぐ に ねむりに ついて しまうのです。
あるひ、おとうさん が、そと で あそんでいるだんちゃん に おいで と てまねき を しま
す。だんちゃんが、そばに ちかよる と おとうさん は だんちゃん の みみ に ヒソヒソ と
ないしょ の はなし を はじめます。
「だんちゃん、もし こまった こと が あったら、このことば を さけぶんだよ…」
だんちゃん は ふんふん と うなずきました。
その よるも、おかあさん の こもりうた で あっというま に ねむっていた だんちゃん でし
た。
よるおそく の こと です。
だんちゃん が、ねむっていると …
「だんちゃん、おきて。ねぇ、おきてよ」
「むにゃ むにゃ …ねむたいよ」
「だーんーちゃん!」
おおきな こえ に びっくり して だんちゃん は とびおきました。
だんちゃん の まえ には、 つきのこども 「つきちゃん」が ニコニコして たっていました。
「つきちゃん、びっくりしたよ。こんばんは」
だんちゃん は、め を こすりながら あいさつします。
「ねぇ、だんちゃん。おつきさまが ホットケーキを つくって くれるの。いっしょ に たべに
いきましょう。」
「うん!」
だんちゃん は、ベッドから とびおりました。
いえ の そと に でて、だんちゃんは、つきちゃんと て を つなぎます。
そして、よぞら に とびたとう とした とき でした。
おおきな てんとうむし が パタパタ とびながら あらわれ、ふたり に とおせんぼ しまし
た。
「おつきさま の ホットケーキは ぜんぶ オレのもんだ。いかせやしないぞ!つきちゃんは、
おつきさま まで、あんない するんだ。」
そういうと、てんとうむし は、つきちゃんの て を グイグイ ひっぱりました。
「やだ!だんちゃん たすけて!」
つきちゃん が だんちゃん の かおをみつめます。
「う、うん。でも こわいよ。こまったなあ」
だんちゃん のあし は、ガクガクふるえてきました。
「だれか たすけてよー」
だんちゃん が さけぶ と、あたま の なか に おとうさん が あらわれました。
おとうさん が、だんちゃん に 話かけます。こまった とき のことば を さけぶんだ。
ああ、そうだ!だんちゃん は ゴクリ と のど を ならし、ちょこっと まえ に すすみまし
た。
「おい、つきちゃん を はなせ。」
だんちゃん が そういうと、つきちゃん の て を はなし、てんとうむし が こちらに むかっ
て とんで きました。
まっかな かお をして。
てんとうむし が だんちゃん に とびかかろう とした とき です。
だんちゃん が さけびました。
「よわさは、つよさだ!」
すると、だんちゃんの からだ が まるまって、すごい スピード で まわりはじめました。
「グルグルだーん!」
だんちゃん が ふたたび さけぶと、ピタッ と うごきが とまりました。
そして、パカッ と からだ が ひらきました。
すると、 りっぱな ちょうちょ の はね を ひろげた だんちゃん が とうじょう しました。
「あれ、ぼく ちょうちょ さん になっちゃった」
だんちゃんが じぶん の からだ を ジロジロ みていると、てんとうむし も ビックリ しまし
たが、あたま を ブンブン ふりました。
「えーい。だんごむし だろうが、ちょうちょ だろうが、かんけいないぞ。」
てんとうむし は だんちゃん めがけ とんできます。
「わーん。こわいよー。」
だんちゃんが、こわく て、はね をバタバタ させました。
すると、とても つよい グルグル した かぜ が まきおこりました。
「あれーーー」
てんとうむし は、とおくの やまの おく へと とばされました。
だんちゃんは、なにが おこったか わからないでいると
「わあ、すごい。」
つきちゃん が だんちゃん に はしりよりました。だんちゃん が、はずかしそうに からだを く
ねくね していると、からだ が、しだいに もと の だんごむし へと もどっていきました。
だんちゃんと つきちゃん の ふたり は、おつきさま ちかく の 、くも の うえレストラン
に つきました。そして、ふかふか の くも の イス に こしかけて いると、
「はーい、おまちどうさま」
おつきさまが、ふたり の まえ に できたて ホットケーキ を もってきました。
おつきさま、ホットケーキ。
ふたりは、ひとくち パクン とたべました。
「うーん!さいこう!」
かお を みあわせて わらいました。
(おわり)