探さないで下さい 32 | AKI 's ミステリー           

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『探さないで下さい』 第1話、 前話(31)

 

 

 

「冷蔵庫の中の物、勝手に飲み食いしてもらっていいんで、リビングで待ってて下さい。

姐さんを呼んで来ますから」

 

「えっ、えええ、ええー!」

 

「あのー、何度も何度も反応が良過ぎっす。

今度は何すか?」

 

 オイラの叫びに、鮎川はしらけ顔で首を掻いた。

 

「いやーいやいや… 鮎川くんと友里は、ここで一緒に?」

 

 いくら若く見えるとは言っても、鮎川くん、友里の年齢を知っているのか?

 

友里、こんな歳下イケメン男を捕まえやがって! ビックリだよ、オイラは。

 

はっはっはー。

 

娘が初めて自宅に男を連れて来た時の父親みたいだ、そわそわするぜ。

 

その昔、友里の親父さんもオイラを前にこんな感じだったのかな。

 

手巻き寿司をよばれている時、親父さんは10分に1度、席を立っていた。

 

あの時、一生友里を守ると宣言したのにさ、約束を破ってしまったこと、後悔しています。

 

親父さん、友里はオイラと別れて良かったようですよ。

 

オイラと別れたおかげで、鮎川っていう見事な青年と出会え、こんな綺麗な部屋で暮らしている。

 

ああ、良かったですね。

 

友里の幸せはオイラの幸せでもありますよ。

 

オイラは2人を応援します。

 

「同僚っすから」

 

 鮎川の答えに、オイラは体のバランスを崩した。

 

お笑いの演者なら、ズルっとこけている。

 

「ど、ど、同僚って言い方は、友里がかわいそうなんじゃないかなぁ」

 

「何で?」

 

 相変わらず淡白な返答をする鮎川には参る。

 

照れているのか?

 

おーいおい。

 

「何でって、鮎川くん、オバサンをからかっちゃいけないよ」

 

「オバサンって、前村さんはオジサンっしょ」

 

「いやいやいや、オイラのことじゃなくってさ」

 

「んじゃ、誰っすか」

 

 鮎川が鼻で笑った時、

 

「あなたたち、うるさい!」

 

 廊下の先の引き戸が開き、ストライプのAラインワンピースを着た友里が現れた。

 

ブロンズ色のワンピースが、友里の女っぷりを上げている。

 

オイラはワンピース姿の女性に弱い。

 

元妻だが、―― うん、いい眺めだ。

 

 

 

 

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