探さないで下さい 31 | AKI 's ミステリー           

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これまでに書きためた作品を紹介します。

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『探さないで下さい』 第1話、 前話(30)

 

 

「どうなってんだよ?」

 

 状況を何ひとつ把握できないオイラは、鮎川に導かれるまま、タクシーを乗り継ぎ、高層マンションに辿り着いた。

 

リゾートホテルのような高級な佇まいのマンションで、着古した普段着で入るのは気が引けたが、鮎川が 「どうぞ」 と言うんだから遠慮なく進んだ。

 

一歩進む度に、天井に取り付けられた監視カメラが目にとまる。

 

見ない振り、気付かぬ振り。

 

少しでも出来る男に見えるよう、オイラは背筋を伸ばし大股で歩いた。

 

エレベーターに乗り案内されたのは24階の1室。

 

鮎川は尻ポケットから出したカードキーをドアに差した。

 

 部屋に入ると空気が澄み、癒し系の香りが柔らかくオイラの鼻孔に届いた。

 

何の香りだろう?

 

嗅いだことのある香りだが、答えられない。

 

ラベンダーより儚く、ローズほど甘くない香り。

 

そして、少しスパイシー。

 

「まさかとは思うけど、ここは鮎川くんの?」

 

 鮎川は簡単に頷いた。

 

 オイラは目玉を飛び出させ、

 

「えっ! えええええ…!! 

運送会社って、そんなに儲かるのかよ!」

 

 銃撃された時にも発さなかった叫び声をあげた。

 

「俺たちがカタツムリ運送の人間じゃないと見破ったくせに、何言ってんすか」

 

「―― ああ、そうか。

そうか、そうか」

 

 息を整え、オイラは2度頷いた。

 

 

 

『探さないで下さい』→ 次話(32)